風力発電の低周波音の被害で、塗炭の苦しみに悶える人を相手に、私にできることは何もなかった。谷口愛子さんは、日本風力をはじめ、大阪ガス、役場、県、政治家に助けを求めて凄まじい活躍を見せていた。取り巻きの環境運動家たちの影響もあったろうが、風力被害者がここまで抵抗した記録はあるまい。
いや、私かて、結構頑張ってきたつもりなのだ。今、コンビニの低周波音被害で裁判をしてボロクソに負けた人が愚痴を連ねている。みんな頑張ろうな、と言うのだ。全国には、一般の低周波音被害者がいて、それぞれに苦しい立場に置かれている。風力発電の被害と違って、「点」だからね。周囲には誰も低周波音の被害を感じる人はいないようだ。
それは、たしかに、少しは騒音とか、振動とか被害感はあるだろうけれど、健康被害、生活の破壊にまで至るものかいな、と不信感を向けられる。誰にも分かってもらえない焦燥感と孤立に、精神が蝕まれていく。低周波音の被害者にヘンな人が多いのはそのせいかいな。環境省の調査報告書には、もろに「精神疾患のもの」と書くからね。
弾圧の対象にされるわな。自然界にある低周波音としては、雷、地震が有名だ。松風、小川のせせらぎ、春の海、心をいやす風情を演出することもある。つまり低周波音は、infra sound、人の心に影響する。雷が鳴ったら身をすくめるでしょ。「畑地区のみんなと頑張っていく」谷口さんはそう言って亡くなっていった。
騙しのテクニック、魔法の言葉でしかないのに、私にそう言って、去っていった。今、畑地区では誰に聞いても「風力の被害など聞いたこともない」と言っている。「アンタだけでしょ」と言って笑うのだ。そうだよ、だからどうだというのだ。地域社会が、ここまで統一されて言論統制される。なかには被害者がいて苦しんでいるのに、それは認めない。
もうあらかたの被害者は死んでしまっているからね。老人施設や病院に行った人もいるだろう。世話になるから勝手なことは言えないか。あくまでも役場に媚を売る。私は総スカンだよ。話の糸口さえない。皆さん手を横に振って逃げていくんだよ。すばらしいじゃないか。私がこれまで紹介してきた世界中の風力反対、抗議デモは、由良町ではまったく受け付けなかった。
周辺の町でやっているエセ反対でもな。「土砂崩れ」だというばかりよ。オウムやな、と感心する。それで彼はみんなと一緒だと思って安心するらしいのだ。私のことは、嫌いだよ、と断言するからね。よっぽど私の悪口を聞き込んでいるようだ。これは全国各地の風力計画地、被害地域でさえ、まったく同じ有様になっている。
思想統制されているのだ。日本人、ってさ、こんなに簡単に思考を奪われるんやね。もともと日本人には個人の考えが希薄だと感じていた。ヨーロッパ人と話していて、Philosophy、考えることが無いのだ。日本語には「哲学」と言う言葉はあるけれど、大学にもそんな講座があるけど、どうも違うで。国民性やね。
儒教や仏教は、借りてきた考え、妄想だからね。日本独特な和ごころ、と言うのか、自然崇拝と言えばよいのか、要は神秘主義、グレートサムシングでしょ。といっても、アフリカや南米の土人でも風力発電反対、低周波音被害に「止めてくれ」と烈しく抵抗して抗議しているからね。同じシャーマニズムを信じているにしろ、結果は明らかになっている。
つまりな、日本人だけが風力被害に俯いてモノも言えないのだ。その上で被害者を弾圧して殺して喜んでいる。世界でも稀有なこの精神性に、なぜや？ と私が切り込むのだ。日本人には誰も分からない。ヒントは汐見文隆医師の本にもあるけれど、思いやり欠如症候群だという。その通りだよ。だから日本の風力被害は、世界的にはアホにされるやろう。
同じ民主主義ではないとな。それは歴史とか、民族性とか、国体とか言うものでもなく、水俣や福島の被害者を見ても、「認めない」と言う社会が異常としてある。あるのにない。不条理があって、抑圧社会を構成する。思考停止じゃないんだよ。積極的な悪意だからね。ウクライナやイスラエルで戦争やっている。
戦争の意味が私にはどうしても分からない。なんで殺し合わなけりゃならんのかね。風力発電は、発電も利用も環境も、地域対策もすべてがウソだ。巨額の費用を費やして検証は何一つない。これまでの実証実験を見れば明らかだろう。なんでこんなもの作って、地域社会を破壊して、被害者を弾圧するのだろうか。
なぜ人々は被害者を見て笑って喜んでいるんだろうか。そんなに嬉しいのかえ。「みんなで頑張る」どういう意味なのか、誰にも分からない。被害者だけの最後のつぶやきだと見た。
