黒マジックで囲んだのが曽祖母のトラノです。一人で四国八十八か所をお遍路でお参りする気丈な方でした。大正から昭和へ。日中戦争が始まる前の時代です。モンペ姿はなく、まだ羽織を羽織っています。
それぞれの表情は、実に真剣ではないか。私は子供の頃、この写真を見て、髑髏が並んでいるようで気味悪く、怖かったものでした。もちろん全員が鬼籍です。
小さな子供もいますけど。今は、こういった信仰はなくなったなぁ。臨済宗の禅寺、古刹なのに、裏山に風力発電を建設しようと大真面目に役場や議会が吹聴するんだから。世も末よ。
大門の写真は60年前の七五三です。まだ着物姿が多い。そしてこの大門も撤去されてなくなっている。たぶん私たちは精神的に退廃している。
昔が良かったとは言わないが、この人たちが今の風景を見たら、おそらく何もものが言えなくなるでしょう。一生懸命に生きてきた結果がこれなのか、と。