低周波被害者の会の窪田泰さんと話していて、誰か一人でも二人でも共に戦う人がいればいいんだけどな、と同じ言葉を繰り返していた。彼は愛媛の八幡浜市の出身だという。伊方町の南隣で、風力被害者たちの事もよく知っていた。私が由良町で、隣町の日高町や広川町の事を知っているようなもんだ。母や祖母の実家がある。近所の人らも同じことだろう。それで彼は勇んで被害者宅に行って、低周波測定器を見せて、何が悪いのかを説明した。
ところが誰も見向きもしない。いや、何か悪い原因があることぐらいは分かるのに、【風力発電を止めろ】という言葉がない。既に伊方原発がある。地図を見たら分かるけど、和歌山市に向けて一直線の断層がある。地震地帯なのだ。能登半島の地震でも、断層破砕帯の上に原発施設があったでしょ。それと同じ現実だ。東西に延びる細長い半島は、それを意味している。陸の孤島だったという。原発のおかげで道路が出来て、生活が便利になった。
と人々は思い込んでいる。風力でも、同じ原理よな。政治なのか、国策なのか、誰も検証しないね。ただ、自称・風力被害者を見ていて、根性なし、女の腐ったの、話にならん、と思ったさ。窪田さんは地元だから、被害者が次々と死んでいることを知っている。畑地区と同じ事だ。誰も何も言わない。じつは私はここの人たちと話したことがない。谷口愛子さんがよく言っていたのは、「髪の毛を引き毟って、赤ベコになって泣いている」人の苦しみだ。
広島か岡山に引っ越したらしい。ブログやSNS投稿欄に、風力被害を訴えていたかな。ほとんど笑い話にされていた。他に誰もそんなこと言う人はいない、とな。もっと南の愛南町にも被害者がいて、これはもうすぐに消えていた。窪田さんに連絡があったらしい。たくさんの測定資料を預かっているから、その中にこれらの被害者たちの音環境が記録されている。騒音でも低周波音でも、そんなもの気にする人はいないよ。
それが四国の西部の人たちの意見だったと思う。各地を見て回ったジャーナリストは、叩き出されたよ、と言って泣きベソ書いていた。私なんかは、トテモトテモ。私は土木設計のコンサルタントをしていた。ダムや発電所周辺の環境設計もあって、自然保護団体とか、環境運動の意味は分かっていたつもりだった。海外とはずいぶん意味が違うんだね。そりゃぁ、ダムを造るのに、自然保護だなんて言ったらあかんわな。
つまり業界丸抱えの、行政の一環だったのだ。たしかに長野県の脱ダム宣言は衝撃的だった。でも全国的には、決してそうではない。印南町のダムなんか、あれは何❓ すぐ下流の人は怖くないんやね。リバーフロント、なんて感覚もないか。有田川町でも、日高川町でもな。まるで価値観が違う。その上での風力被害が「どうした」と云うのだ。
それでか、皆さんは「土砂崩れが心配なんです」と言っている。どこにもそんな土砂災害はないのに、低周波被害を見ながらよく言うよ。話にならん。結局、日本では誰も風力発電反対の声を上げることはなかった。御用学者と土砂災害の写真、たまに議員先生が来て笑っていく。人々はペコペコして喜んでいた。私は、それぞれの被害者が塗炭の苦しみに狂いながら窪田泰に連絡して助けを求めたと思っている。
しかし現実は、youtube 動画『蒲公英工房での談義』にあるように、汐見先生に同行した黒田街子さんが証言している通りだ。即、手のひら返し、私なんかは罵声の嵐よ。なーんや、被害者じゃないんかい、となる。私はピカピカの低周波音被害者でね、彼らのように風力発電の麓で、それも70dbに達する烈しい低周波音に曝されたらどういうことになるのか、よく分かっている。下津町では家族全員が引っ越して行った。誰も助けない。
和歌山県の環境課では笑い話にして喜んでいた。低周波の法律はないんだよ、と言っていた。それがどうした。何がそんなに面白いんだ。オマエは鬼や。被害者の恨みを、地域社会の狂気を纏って死ぬがよい。また、この話を聞きながら、参加しながら「私たちは土砂崩れが心配なだけなんです」と言った政治家たち。これが議員というモノかい。風力被害者は、私のホームページを見ないだろう。新聞やテレビだけの世界に浸っている。
世間の噂話から離れた風力だ、低周波だ、なんて話には乗らない。みんなと一緒が良い。【みんな】、って誰の事や、なんて思わない。人としての深み、意味がない。あってもなくてもどうでもいい人よ。だからそんな家族の人は、被害者が死のうが、苦しもうが関係はない。死んでくれた方がセイセイする。解放されるのだ。そんなローカルな場面ばかり見た。下津町の家族そろっての場面は、だから新鮮に思えたよ。
同じミカン百姓だから、可哀そうだったけどな。弾圧もすごかった。こんな悲劇は和歌山だけじゃないでしょ。秋田や山形の恐怖政治はどうだ。誰もカラクリをバラさないのか。ペテンの環境運動会なんやで。ニセモノばかりでな。あっ、それは全国どこでもそうなのか。誰か、一人でも風力被害を訴えて戦うことが出来れば、と思っている。






