知れば危ない。知らなければ危ない。

添付のチラシはh24年に由良町の被害地区に二回も配布した。この他にも汐見先生の資料や、海外の風力被害の資料をコピーして配っていた。ずいぶんとカネをかけたよ。『風力発電の被害』の製本にはもっと費用を費やした。被害地では誰も買ってくれなかった。本は買って読め、という。由良駅前の人に一冊渡して、読んでみてくれと頼んでいた。

一か月後に棚の上にそのまま置きっぱなしになっていた。関心はなかったのだ。リップサービス。すぐに回収して、次の人を探す。もと教諭だと言う人は、読んで感動したと言っていたけど、それっきりよ。地域が違うから協力はできないとハッキリ言葉で断られた。被害地の問題でしょ、という。もしなんかあればその人たちが言うことでしょ、とさ。

その時点で、もう糸が切れていた。由良湾に面する集落では、まったく拒否されたよ。どこからでも山々に林立する風車がよく見えて、異様な光景になっているのにな。由良港には三井造船由良工場があって、すっかり支配されていた。55年前、江ノ駒の砂浜一帯が埋め立てられるとき、漁業補償、地元対策に多額の金を貰ったからね。

毎日のようにシンナーが漂ってきて被害に苦しむ話を聞いている。過敏症、というより現実の健康被害なのに。私がそのシンナー被害を言葉にすると、江ノ駒の人らは一斉に私を拒否していた。迷惑だと言うことだ。小銭を貰って生活することを選んでいたんやね。私に言っていたシンナー被害はタダのガス抜きで、カネをもらう理由付け、心理トリックだったのだ。

家畜、ロボットやな。底辺層の貧しい人たち、そう見なされている。こんな考えは、風力被害に遭わなければ気が付くこともなかっただろう。風力発電の低周波被害を通じて、地域社会、個人的な付き合い、コミュニティの虚像が見えてきた。な~んや、ウソ、作り話やったんや。支配技術としての差別と偏見を明らかにして見る。

「被害はない」、「あの人、オカシイんや」とな。今では私がその代表だ。差別、迫害の対象人物になって、人々の笑いものにされている。他の被害者たちは簡単に裏切って「ワシらは何でもいいんや」と言っている。「被害はない!」と怒りを露わにして叫ぶ人もいるから、その感情の高まりには理由があるやろ。

風力発電の低周波被害は、雷や地震の時の低周波・驚き・緊張感と同じものだ。だから風力被害者に共通する症状として、「首が痛い」というヘンな訴えをよく聞く。危機感に首をすくめるからだろうか。私も首が回らなくなって、大層痛かったからそれらの人の言うことがよく分かるんだよ。後ろを振り向けずに、今も車の運転に困っている。

神経が引きつれるのだ。インターネットでは、風力の計画地域の人が、実際に風力発電を視察に行く話がたくさん載っている。音はするけど、それほどでもない、とかね。有害な低周波音をその場で感じることができるのは、せいぜい10人のうち1人だ。それも言葉にして表現することが難しい。だって音圧、気圧変動だから、どんな音なのか表現できないでしょ。

耳が詰まるような感じ。それでも統計的には数%しか分からない。風力発電の視察に10人、20人行ったところで、単なる物見遊山でしかない。実際に風力被害者が案内して説明してもアホにされるだけだったからさ。低周波測定図を見せても、誰も理解してはくれなかったんだよ。京大の小林芳正教授も測定が専門だから、心理的なトリックまで手が回らなかったんだろう。

汐見先生の本では、今では古典としか言いようのないもどかしさを見る。私は文が下手で、とても人の心を動かすことはできなかった。話し言葉はもっと酷かったようだ。口下手よ。風車病になると、一斉に弾圧があるからね。その嵐の中で孤軍奮闘してきたのだ。今、日本各地で風力発電の建設が急ピッチで進められている。

誰も反対しないし、低周波被害を言葉にすることもない。「土砂崩れが心配です」とか、あらかじめ用意されたスローガンを謡うだけのトリックになっている。かつてあつた風力発電由来の低周波測定もすっかり消えてしまっている。被害の原因を証明する、当たり前な対応が見事に人々の意識から消されていたのだ。魔法やね。呪いだよ。

ヨーロッパやアメリカでは、人々はちゃんと抗議して怒りを見せているで。日本人だけが、なんでこうもダメなのかと思わないか。被害者が、アボリジニやインディオみたいに虐められて殺されている。害獣駆除と一緒にされている。日本では、このイベントが面白くてならないと言う。何度その言葉を由良町で聞かされたことか。

こんなにしてまで社会が破壊されているのに、誰もそのマズさに気が付かない。1億人も日本人がいて、私一人かヨ。海外と日本の意識の落差は、もう明らかになっている。被害を受けたら反抗しようじゃないか。水俣や福島が良いと思うか。あんな感じやで。自滅、自死、地獄にようこそ、それが風力発電なんやで。