今朝の新聞を見ていて思わず懐かしくなった。私も測量士でして、登録を申請しただけでその資格を頂いた。大学も推薦だったから試験なしで入学した。試験が苦手でね。詰め込み教育みたいなことには向いていないのだ。学校の成績は悪かったよ。でも学校を出ていると、こんな資格がもらえるんだから、役得なんだろうね。長岡技大では、測量学の時、巻き尺一つ手にすることはなかった。
都市計画論とか何とか、別の話題で終わっていたようだ。初めて測量したのは、建設会社での現場測量よ。かなりハードな仕事であった。すぐに慣れたけど、職人仕事なんてそんなものだろう。コンベックスで簡単に測ることも多かったよ。それでもたまに大失敗することがあって、橋梁を掛けるとき、橋台の位置が1m違っていた、なんて失敗の現場を見たものさ。
土木屋は、一生のうちに一度はそんなポカをやると聞いた。測量は一人でやるものではない。常に複数の人がチェックしながら進んでいる。それで誰も気づかないんだから、その時には笑うしかないわな。それで自殺した人はいない。たぶん、あとで酒宴になっただろうと思う。どうする? とか何とか云ってさ。私もそんな現場にいたから、とてもいい経験、飯場生活を見させてもらった。
.たまプラーザ、港北ニュータウン、国道26号、青春が蘇る。さて風力発電の低周波被害に戻る。長岡技大では、測量学とともに、『環境』という講座で騒音測定の訓練を受けた。道路に出て音を測定する。音圧と距離。対数グラフに落とすと直線になる。そーか、音って、対数的に音圧が減衰するんや、と実際に体験する。東大出の若い先生方が数式を書いて説明してくれた。
今、それらの先生はどうしているんだろう。もう70歳ぐらいだから偉くなっているんだろうね。前記の測量学の先生は、日本学術会議の会長、豊橋技大の学長になっていた。ちょうどその時、北陸新幹線が開通して、各地で騒音測定が実施された。長岡市では福田組がやっていて、技大の先生方と学生が参加した。アルバイトかなんか、よく分からない召集だったと記憶している。
タバコを新幹線の窓辺に立てると、倒れないんやで、と聞いたことがないか。なんと平和な時代を謳歌していたことよな。私にもこんな平和な青春があったのだよ。それがいつの間にか思い上がって、我儘三昧に逃避する。弱い部分が露出してしまっていた。反省と邂逅。恥ずかしいことばかりが木霊する。その割には風力発電の低周波を測定して、悲惨な健康被害の実態を訴え続けているんだから懲りないんだろう。
いや、本当は後悔して反省しているんだよ。でもな、あってはならないことが現実に起こってみると、誰もその悪行を言葉にできないとなると、私がそのアホ役をやるしかないな、それが罪滅ぼしになるなら、と思ったわけさ。40年前のそれらの人と話したこともある。全然やね。長年月の時間は、それらの人を話の通じない「無事の人」に変えてしまっていた。リスクのあることには関わらない。
安全第一なのだ。私一人が違っていたということだ。だが待てよ、それで彼らは本当に安全なんだろうか。なかには技大の先生になった人もいて、最新の低周波測定機器を揃えて自慢している。それで低周波を測定してはならないというのだ。水俣病の時にもありましたなぁ。公定法と赤木法。水銀を測ってはならないとされていた。なんやその学者のアホぶりはよ。
それと同じことを技大の成績優秀な連中は自慢タラタラにやっていた。まったく私の話は通じない。ロボットみたいだったよ。勉強のできる奴ほどアホになるんやね。上級試験を受けて、高級国民になった奴も同じ言葉を継げていた。風力の被害など聞いたこともない、と。笑ったよ。私は勉強ができなかったからさ、劣等感というのか、コンプレックスに泣いていたのだ。
それが彼らのアホぶりで、一瞬にしてそんな感情は吹っ飛んでいた。アホにするな。それでも人間かい、とな。五渡米に腰を折らず、の故事もある。しかしそんな奴に会ったことは一度もなかった。それほど公務員というやつはダメなのかい。目測、歩測、という距離の味方がある。一般の人より、測量に従事したものの方が正確に見るだろう。それくらいの自負がある。
同じように低周波測定に関しても、騒音とは違う、何が問題なのかと気付くのだ。たぶんな、あの時の同級生たちも理解する能力はあると感じている。ただ彼らには正義感、矜持が消え失せていた。悪意にまで偏向していた奴もいるだろう。風力被害地の「憎しみ」についてはこれまで書いてきたとおりだが、全く被害とは関係のない技大の先生でも、被害者に対する差別、偏見、憎しみの感情を見せていた。
これはぜひ書いておかねばならない事実だ。生きる術なのか。違うだろうと見ている。彼らは被害者がいて苦しみ死んでいく公害が面白いのだ。いずれは彼らの仕事として利益になるかもしれないと、期待する部分だろう。もちろん御用学者として被害の否定、隠ぺいの手先としてだよ。糞まみれの人にはなりたくはないわな。このページは、長岡技大の人も見ていると聞く。少しは物思う人になりませんか。