印南町の計画地に行ってきました。

熊野の山々は、それははるかな風景でした。

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  要 望 書

世界遺産に登録されている「紀伊山地の霊場と参詣道」について、近隣の地域に巨大な風力発電施設が建設されようとしています。
この地域は熊野街道、小栗判官の街道として、古来よりたくさんの信仰と物語を育んできました。

添付した資料には、詳しい位置図、新聞記事、ホームページに記載されている世界遺産の説明、この地域に昔から伝わる素朴な信仰図、そして現地で撮った写真があります。
フランスの世界遺産のモンサンミッシェルでは、見える範囲で風力発電施設の建設を禁止しています。

今回、樮川地区の風力発電は、鉄塔の高さが約100m、先端にナセルがあって、直径80mの巨大なプロペラが回転します。
稼働と同時に、騒音と低周波音の空気振動で周辺地域の空気が激変します。

風車が建設される秋葉山は周囲でも一段大きな山ですから、相当遠くからでも異様な風景として、これまでの景観を壊してしまうでしょう。
この地域には、希少生物のドジョウ、オオウナギがいるそうです。

絶滅寸前の猛禽類、クマタカ、ハヤブサ等の生息やサシバ、ハチクマ等の渡りが確認されています。
開発を目的としたアセスメントではなく、一度、詳細な環境調査を行う必要があるでしょう。写真にあるように馬蹄形をした特異な地形です。

最近、海外から熊野街道をトレッキングに訪れる旅行者が増え続けています。
私は由良駅前でアパート経営をしていますが、空室を登録すると、たくさんの利用者が連絡してきます。
私の下手な英語でも、彼らは熊野街道に何かを期待して、学び、体験することを聞いてきます。

アメリカのコロンビア大学の学生たちが教授と共に、何度かこの地の調査に来たことも印象的でした。
道成寺物語や小栗判官物語、熊野信仰など、日本人の心の価値基準を調べているらしいのです。

当の我々日本人が、熊野信仰の大切さを理解していない。先の秋葉山など、火伏せの秋葉山信仰の神聖な山としてシンボルとされてきたものです。
その頂上を壊して風力発電を建設するなど、海外から来る知識人が見たら、何と感じるでしょうか。

日本ではニュースになりませんが、ヨーロッパやアメリカ、オーストラリアでは、風力発電の騒音、低周波音被害、シャドーフリッカーなどが大きな社会問題になっています。
現に由良町では、民家の周辺に21基の風力発電を建設して、たくさんの低周波音被害者が苦しんでいます。

樮川地区で風力発電が建設されると、まず近隣の住民が被害に苦しむことになります。低周波音は波長が長く、距離を隔てていてもあまり減衰しません。
谷筋や山々を超えて伝播します。環境影響事前評価では分かりません。

実際に建設されて、被害が出て、測ってみて、初めてその現象の一端が分かるものです。天気や季節によっても違います。
複雑な、人それぞれが違う症状を訴えます。音楽家の人は比較的に耳が敏感ですから、すぐに気が付くでしょう。

私は学生時代からクラシック音楽をよく聞いています。低周波音被害者となって、初めて、CDのデジタル録音とLPレコードのアナログ録音の差が分かるようになりました。
耳には聞こえないけれど、感じる音があるということです。
人間には聞こえないと思われていた低周波音や高周波音が、いかに人に影響を及ぼしているか実感しています。

私は今、行政、事業者に対して、風力発電の被害対策を訴えています。行政は、基準もなく、関連が分からない、と受け付けません。
世界的にも、被害に対する対応が難しいのです。しかし、間違いなく低周波音、シャドーフリッカーによる健康被害はあります。
風力発電の近隣の住民は被害を受けて苦しんでいます。

今回、この要望書で私が訴えたいことは、せっかく世界遺産に登録されて世界中の人が訪れるようになった熊野街道において、これまでの風景を壊して、昔からの信仰や物語を壊して、何を得るものがあるのか、ということです。

わずかばかりの電気と助成金と引き換えにして、私たちが誇りにしてきた文化、歴史、信仰を損なうことがあってはなりません。世界中の人に笑われます。

現地では、もうすぐ工事に取り掛かる気配です。緊急を要します。早急に対応して頂きますようお願いをいたします。

また、田辺市の中辺路町、龍神村、奈良県十津川村にまたがる果無山脈の風力発電建設計画があります。関西電力が計画しています。
眺望の効く景勝地として、巨大な風力発電は、熊野古道には、誰もが違和感を覚えることと思います。

地域住民が判断しないから、反対しないから、などといった理由は理由になりません。
我々が世界遺産の意味、価値を知って、大切に保存、維持していくべきものです。何卒、よろしくお願いいたします。

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