振り返ってみて~風力発電の低周波音被害報告総括

風力発電の低周波音被害について 私が、初めて風力発電の問題を取り上げて、今日で丸二年になります。
平成23年12月議会において、私は、何が起こっているのかさえ分からないまま、被害者の苦しみの声を聞いて、それを、そのまま由良町議会に伝えました。
低周波音という言葉さえ、普段の生活にはなじみがなく、何か雲をつかむような話であったと思います。
建設当時の協定書や確約書には、「低周波や電磁波により住民に被害を与えないこと」と明記されています。 しかし、この由良町で、誰が低周波や電磁波の被害を知っている人がいたでしょうか。
私は新潟の長岡市にある長岡技術科学大学を卒業しました。建設工学課程でした。米軍基地や技術開発部勤務も経験しまして、多少の知識を持っていました。
ここでは、電磁波のことは、さて置くとして、低周波音が騒音とともに連続的に、容赦なく襲いかかってくる事態は、初めてのことでした。あの米軍基地でさえ、タッチ・アンド・ゴーの合間には、しばらく、静寂が許されたものです。
あのファントム戦闘機の離発着訓練です。 風力発電は24時間、絶え間なく低周波音を発しています。 私は低周波音測定機NA-18Aで低周波音を測定しながら、3つのパターンがあることに気がつきました。
①風車が回っている時の低周波音
②風車が止まっている時の低周波音 内部で稼働している機器により、風車を振動させることによ り、あるいは、風により構造体に生ずる振動、カルマン渦などにより発する低周波音
③風車が止まっている時の低周波音内部にある機器が止まっている時、三枚羽や鉄塔に風などによ る振動により発する低周波音 由良町を取り巻く風力発電は21基あります。風車間の距離は狭く、おそらく、互いに影響しあい、バイブレーションを起こしているでしょう。
相互作用があるでしょう。 日本気象協会が低周波音を測定して事後報告しました。 「超低周波音、可聴音ともに一般的な住宅内に存在するレベルと変わりはなく、直接的に健康影響を及ぼす可能性は極めて低い」とする有名な言葉を残しています。
畑地区でも、里地区でも、非難、轟々の嵐でありました。 私は、和歌山市在住の汐見文隆医師から借りた低周波音測定機で測定していましたから、どうして測定結果に差があるのか不思議でなりませんでした。
平成24年4月5日に、由良町の被害状況を視察した日弁連、公害環境委員会の幸田雅弘弁護士は、「自由と正義」4月号に、こう記しています。
『環境省の実態調査は音圧補正がなされている。4Hzで20db、1Hzで40dbの音圧減少がなされている。』風力発電の低周波音は、1Hz、2Hz周辺に特異なピークを持っています。
『医師が参加した疫学調査の実施など、被害実態を直視することから始めるべきである。環境省の姿勢が問われている』と明記しています。 平成25年10月5日、夕方6時に毎日テレビの特集番組で水俣病について報道がありました。有機水銀の測定方法が主なテーマでした。

当初から、微量汚染は検出することができていたそうです。 環境省は公定法を用いて、基準内であるとしていました。 しかし、研究する人がいて、赤木法という分析方法によると、基準値の数倍の高い汚染が確認されました。 現在、世界中で有機水銀の分析に用いられているそうです。
ところが、環境省では、今でも、かたくなに、公定法を用いて、基準値内であるとしています。 日本だけです。公定法を用いているのは。 今でも、たくさんの被害者が、水俣病により苦しい生活をされているそうです。
しかも、28年前、水俣湾の海の水を汲んで測定することすら拒否されていたことを報道していました。 なんだか、風力発電の低周波音測定と、よく似ています。 深刻な公害です。 私が低周波音を測定すると、我が家では、1Hz、2Hz周辺で50~60dbを示し、その数値は1~2秒間隔で激しく変動しています。
衝撃波です。 キッチンの天井がブーンと音を立てて振動することがあります。ウァン~、ウァン~と気持ち悪いうなり、響きをたてることもあります。
低周波音により、キッチンの部屋が共振しているんでしょう。 電線やコード、電気製品が変な音を立てて、気持ち悪くてたまらない、という被害者もいます。
風力発電は高さ100mの巨大な構造物です。風車の直径は80mもあります。一般家庭にあるような小さな電気製品とは、エネルギーの大きさが違います。 水俣市では、当初から水俣病の原因は分かっていたそうです。箝口令が敷かれていたそうです。
言ってはならないという命令です。 私も企業に勤めておりましたので、企業活動のためには箝口令があることを経験しました。
守秘義務とは違って、なんだか分からない強制があって、理不尽な、と感じたこと多々でした。 水俣病の被害者は、差別と偏見を受け、周囲の目を気にしながら死んでいったそうです。 風力発電の低周波音被害者も同じです。
「あんただけだよ」 「他に、誰も、そんなこと言う人はいない」 「地域には、被害を訴える人はいない」 たくさんの低周波音被害者が、こう言われてきました。
ほとんど同じセリフです。 どこかにマニュアルがあるんでしょう。 風力発電周辺の低周波音被害者は、こう言われて、周囲の人の目を気にしながら、苦しいことを隠しながら、生活を続けています。

私は先日、日高町の人たちと何度か世間話をしました。 日高町の人たちは、皆さん一様に 「風力発電ができなくて本当に良かった。ホッとしている」 「私たちには、原発も風力発電もいらない。今の生活が一番大切なんです」 と明るく答えてくれました。
日高町は、どんどんと人口が増えてにぎやかになっています。国道沿いの小学校を見れば明らかです。スーパーマーケットでも品数が違います。
由良町は、どうでしょうか。明暗を分けていませんか。 平成23年3月付の「平成22年度 移動発生源の低周波音等に関する検討調査業務」報告書P.184には、低周波音暴露による健康影響が出やすい人の特徴として、 『精神疾患を有する人、あるいは精神疾患の気質を有する人』 という文言が明言されています。
こういう表現に対して、異常だと思いませんか。 汐見文隆医師は、全く関連はないと断言しています。 こういう言葉で、被害に苦しむ人を虐げてよいのか。私は、断固として許しません。 風力発電ができて、低周波音で耳が痛い、頭が痛い、首が痛い、目まいがする、だるくてたまらない、という被害者がたくさんいます。
この人たちに対して、一人一人に対して、 「あなただけだよ」 と言い続けますか。 環境省が言うように、精神疾患だと言って、切り捨てますか。 由良町の被害者は、どうして苦しいことを隠して、我慢して、苦しい生活を続けなければならないのでしょうか。 何かが間違っているんです。 今、全国の多くの支援者の方々から、大学の医療チームが、この地域の低周波音被害について、調査するべきだ、と声が上がっています。
協議を進めています。 水俣市において、水俣病がそうであったように、行政が何もしない、隠ぺいするなかで、心ある研究者たち、たとえば、熊本大学の原田教授のような、公害の原因を究明し、社会悪を明らかにするものと思います。
私は、汐見文隆医師が既に明らかにしてきたように、大規模化した風力発電の低周波音被害は、間もなく、水俣病と同じ経路をたどると考えます。 しかし、これでよいのでしょうか。 同じ町内に住んでいて、被害に苦しむ人が10人か20人だからといって、無視してよいはずがありません。

それぞれに、これまでの生活があって、皆さん一様に、人生があります。健康に生きていく権利があります。 そう思いませんか。被害にあって苦しんでいる人の声を聞いてください。 先日、阿戸地区で、低周波音測定機NA-18Aを使って測定しました。周波数1Hz~80Hzまで、音圧20~30db程度で、ほとんど一定しています。
風力発電の周辺地域とは、まるで違います。 静かな阿戸地区でした。 地震や津波があれば、町内で助け合うでしょう。 今、山手の方で、被害にあって苦しんでいる人々がいる。それをどうして助けないんだ、という人もいます。 町全体で、この特異な被害について考え、何とか、しようではないですか。
以上