EPAW (European Platform Against Windfarms) の翻訳

小林先生からEPAWの翻訳を頂きました。

ヨーロッパでは、各国の新聞を並行して読む人が結構います。日本にいては分からない習慣です。
さらに日本人の誰が、それぞれの国の状況を知ることが出来るでしょうか。


表記の文献の翻訳を拙速でやりました。EPAWはそれほど変な団体ではないと思います。かなり強力のようです。日本でもこれぐらいの論陣を張る団体があるといいのだけれど、残念ながら日本の批判勢力はまだレベルが低いようです。小林

無用で破壊的な風力発電計画を止めよ

ヨーロッパの風力発電計画のモラトリアム(一時停止)を要求しよう

European Platform Against Windfarms, EPAWヨーロッパ風力発電所反対同盟の目標

EPAWは2008年10月4日、EU諸国の少数の連合、協会、その他のグループにより創設された。
それは、現在、31か国からの1276団体で構成される。本部はアイルランドにあり、住所は役員リストの前に記されている。

EPAWの目的はメンバーの下記の利益を擁護することである:
・1つあるいはいくつかの風力発電所案に反対する;
・人類及び地球の諸問題を解決する手段としての風力発電所の有効性を検証する;
・風力発電所により、直接または浸食、汚染、山火事などを通しての環境劣化による、動植物及び景観に対する損害を防ぐ;
・風力発電所の観光業、経済、人々のQOL、不動産価値、さらに増大しつつある健康への破壊的影響に反対する;
・上記すべての組み合わせた要求。

EPAWへの入会の勧め

上記の関心事の一つあるいはいくつかに賛同するヨーロッパの連合、協会、市民グループはEPAWに加入できる。会費は無料。加入を認められると、メンバーはメイリング・リストに加えられ、氏名及びEメール・アドレスがしかるべき国旗をクリックするとウェブページに現れるようになる。

*我々は、加入要請を、理由の説明なしに、受け入れたり、拒否したりする権利を留保する。メンバーから除外する権利も同様である。
**上記のEメール・アドレスは、検索エンジンによる無差別アクセスができないように心がける。

モラトリアムの要請

我々はヨーロッパの諸機関に、新しい風力発電所計画の承認、およびすでに認められた施設の建設の一時停止を宣言することを訴えた。
ヨーロッパ委員会の回答は否定的だったが、われわれはこの目的を達するまで活動を続けるであろう。

いま運動を始めよう

数の力がある。EPAWは、ヨーロッパ全体から550以上の協会、連合、グループを組織している。その詳細はホームページで、国旗をクリックすれば見ることができる。会費は完全に無料である。

EPAWメンバーになろう:あなたがある組織のメンバーだったら下記のメッセージを contact@epaw.org に送付すれば、加入申し込みができる。
メッセージのひな型(省略)

ヨーロッパ委員会への公開状

J.L.Butré, EPAW議長

ヨーロッパ委員会、
ヨーロッパ議会メンバー

親愛なる関係者各位

ヨーロッパ風力発電所反対同盟RPAWは、2008年10月4日、フランス、ドイツ、スペイン、ベルギーの諸団体のイニシアティブにより、パリで設立された。
それ以降、英連邦、イタリー、オランダ、チェコ、スロヴァキア、ポーランド、アイルランド、スウェーデン、ルーマニア、デンマーク、ブルガリア、ギリシャ、および2つの非EU国、ノルウェイとスイスのヨーロッパおよび汎ヨーロッパ諸国の300以上の教会及びグループが加入した。
これらのグループ一覧は www.epaw.org で見ることができる。

支持メッセージは、遠方諸国からからも届いており、例えばカナダ、オーストラリア、米国、メキシコ、プエルトリコなどが挙げられる。これらもEPAWのサイトで見られる。

EPAWは、再生可能エネルギーを、それが有効であり、社会的、経済的、かつ環境的に受け入れ可能である限り支持する。これらの基準に照らして、影響を受ける社会は個々の提案につき完全に話し合われることが必須である。

RPAWは、EUの再生可能エネルギーの施設がしばしば経済的、イデオロギー的グループの圧力のもとに取り上げられていると考える。その擾乱的結果は、それらのプロジェクトが、継続可能な発展の基本的基準を満たしていない。

EPAWは、風力発電は、そのような最悪のシナリオを表していると考える。その有益性は証明されず、ここ何十年かにわたり、諸政府により用意された再生可能エネルギー予算の最大部分を吸収してきた。さらに悪いことには、それは環境の劣化に貢献してきた。

EPAWは、風力発電が、持続的発展を目指すヨーロッパの政策に完全に反していることを繰り返し示してきたという事実に注意を喚起する。たとえば:
・風車の風力発電が起こす電気が間欠的な性質で、それを補う火力発電所に頼る必要があるため、風力発電のCO2放出削減への貢献は微々たるものだった。そのため、風力発電は費用的にも、政治的に微妙な化石燃料の輸入を減らさなかった;
・風力発電所数の増加のため、送電網の安定性が風力発電の不規則な性質に脅かされた経験に対処するため、ヨーロッパの高圧電力網の改善とより多くの制御設備が必要となった。新しい高圧電力網は、コストを引き上げ、環境にさらに好ましくない破壊をもたらした;
・何十年かの開発の後でも、風力エネルギーは依然として未完成で、その結果、風力発電は巨大な公共予算を食い、その存在は人為的な市場に依存している。さらに、人為的な市場に過剰に依存している故に、何ら環境上のメリットもなしに、納税者や消費者の犠牲のもとに、スキャンダラスな個人的蓄財の因となっている。実際、現実的損害が起こっている;
・風力発電は、自然景観と歴史的建造物への有害な影響により、ヨーロッパの自然及び文化遺産を大幅に変えた。それは、不動産所有者が、生涯の働きの成果と考えている資産の価値に厳しい破壊力を及ぼした;
・風力発電は、住民のQOLを低下させ、さらには健康も破壊した;
・風力発電は、動物界を危機に陥れ、これまで土工機械や、コンクリート作業その他、高度に侵略的人間活動の影響を逃れてきた自然生息地を破壊している;

EUの持続可能な発展の目標と現在の風力発電政策の明らかな矛盾に直面して、EPAWはEUに対して、正式に要請する:
1. EUのすべての風力発電プロジェクトを、すでに承認されている計画も含めて、直ちに中止すべきこと。
2. EUの風力発電プロジェクトの影響について、真に中立な専門家のよる委員会の研究の任務を、以下のことに特段の注意を払いつつ行うこと:
炭素削減:
委員会は、風力発電所の建設、保守、監視、撤去までを通じて発散するCO2量を評価すべきである。委員会はさらに、風力発電につきものの電力変動を補うための余分なCO2量など、送電網における非直接的影響も算定すべきである。バックアップ発電は、不可避的に非効率的な火力発電を伴うだろう。
EUの風力発電の、京都議定書に対する実際の貢献を推定し、簡潔な形で提示すべきである。

経済的インパクト(影響)

委員会は、風力発電所採用の直接及び間接の費用を算定し、公共出費全体に対する影響を、長期にわたり、家庭及び工業、商業に対する電力料金への影響も評価すべきである。
費用は次のものを含まねばならない:
・補助金、国庫の利益、風力産業に有利な規制料金;
・不安定な風力発電のバランスのための化石燃料発電所の建設、風力発電所を電力網につなぐための高圧電力線網設置、風力発電の予測困難な変動に対処するための制御センター建設、電力網の向上のための費用。

風力発電所は一般財源のかなりの部分を吸収するので、EPAWは、EU委員会は風力産業の取引及び実践について監査すべきである。監査は、会社の構成、租税回避地などの節税の程度も含むべきである。

社会的加害力

委員会は、風力発電の人々の健康に対する加害力を研究すべきである。地方居住者の代表的なグループは参加を求められるべきである。

委員会は、地方居住者に対する環境変化の影響を取り上げ、風力発電の存在が土地及び建物、旅行業の時間変化に対する加害力も評価すべきである。

環境への加害力

“現実調査”は、ヨーロッパ景観会議の“ヨーロッパの統一性と多様性の反映として、景観は、それが普通のものであれ、特別のものであれ、都市であれ田舎であれ、また陸上であれ水中であれ”それを逸脱する風力発電設置により低下した生息環境、犠牲となった景観の項目を含むべきである。

EPAWは、ヨーロッパの 協会が、何千もの風力発電所が、ラップランドからジブラルタルに至る各地に、あるものは自然保護区の中心に置かれ、ヨーロッパの景観を劣化させ、一様に褐色な工業地帯に変えてしまうことを認めるわけにはいかない。それらはEUのNatura2000プログラムを犠牲にして設置されたのである。

したがって、EUはあらゆる勢力から不偏と認められる独立鳥類学者および生物学者からなる委員会を立ち上げるべきであり、委員会は、既存の、および計画中の風力発電所および、それに伴う火力発電網の動植物及びその生息地に対する個々の及び累積的影響を客観的に評価しなければならない。

最後に、“現実調査”風力発電所の建設及び運転が、いかに地被植物、表土、水流、河川及び地下水の汚染をもたらすかを研究すべきである。使い古されたり、壊れた風車から漏れる潤滑油、タービンブレードからアウラ汚れを取り除くための洗剤、基礎やアクセス炉の建設に使用されたコンクリートなどが環境汚染に与える影響について、とくに注意を払うべきである。

EPAWは、誤った考えにより、また貧困なEUの風力発電政策は、ヨーロッパの懐疑主義の火に油を注ぐものである。EUの多くの環境保護者や情報に通じた人々は、ヨーロッパの施設は風力発電の環境に対するその真の加害力を熟慮することなく、その採用の許容できる限度を考えもせず、風力産業に魂を売ったという印象を抱いている。EUのエネルギー需要の満たす臨界的文脈においては、オブザーバー(識者)は、EUのエネルギー政策は“クリーンな風力発電”を掲げる風力ロビーの神話に基づくのは思いもよらないことであると考えている。

風力発電産業の人々、景観、旅行業、不動産価値、野生動物、経済に及ぼす負の影響は、広く理解され、受け入れられている。EUが、風力発電政策の“現実調査”を怠るなら破滅的な不毛化を招くだろう。

敬具