白倉池改修工事の怪

由良風力発電所2.000kw、5基の麓に白倉池という大きな池があります。由良町で一番大きな溜め池でしょう。
私はこの水で8反(80a)ほどの田んぼを作っています。毎年、70~80俵の収穫があります。

平成26年頃、近所で同じく田んぼを作っている人から「白倉池の改修工事があるらしい。
3年ほど掛かって、貯水量も減るらしい。3年間の休耕、貯水量の減少、どちらも受け入れられない。補償はないという。

役場になんとかならないか聞いてくれないか」と言われました。
私はこれまで池係の委員を2回してきたし、一番多くの耕作面積がありました。町会議員でもあります。

それが何も知らされずに工事計画が進んでいたのです。
交渉の経緯は多々ありましたが、しばらくは棚上げになるのかと思っていました。しかしそんなことは全く考慮もされずに強行されていました。何のために ?

『風力発電の被害』にも経緯を記載しています。
白倉池の配水する地域の田んぼはザル(竹籠)といって床のない田んぼが多く、多量の水を必要とします。地形、地質がそうなのです。

米を作りたいがために、大きな溜め池を作ったんだろうと思います。白山神社を祭り、池の入り口には鳥居があります。
石碑まで建てて、白倉池の完成を顕彰しています。

現在、水田の面積は減ってきたとはいえ、雨の少ない年には水不足になることがありました。
昔は「水回り役」といって、まんべんに水が各水田に配水できるように見回る人がいました。古き良き時代で、米の値打ちがある時代でした。

今は、朝7時から夕方6時まで、一定の水量を流して、各水田の管理は個人の責任で、ということになっています。
田植えの時の「田拵え」の時だけ、いっせいに示し合わせて作業することになっています。

私の作っている田んぼは「湯尻」といって最下流の大きな田んぼです。いつも一番最後の水が回ってきます。
ですから水不足の時は被害が大きいのです。水不足になると収量が減ります。米にならない時もあります。

添付資料にあるように、現況水量5万5千トン、改修後の貯水量は4万5千トンです。2割も減水します。
現在の堤防を10mほど山側に引っ込めるからです。
その対策として、堆積した土砂を取り除くから、と行政側は弁解しています。

しかし1万㎥の土砂が取れるか。捨て場所はあるのか。それが出来たとしても経済性はボロボロだろう。
溜め池に溜まった土砂はヘドロです。ダムに溜まる土砂と同じで無理に放流すれば大変なことになります。
由良川は本当に小さな川ですから、各所で土砂閉塞が起こります。由良港も被害を受けるでしょう。

つまり、行政の言う「堆積した土砂を取ることにより減水分を補う」というのはウソだということが分かります。
なぜ無理して2割も減水する改修工事をしなければならないのか。
白倉池の堤防は粘土質で堅固に造られています。ひび割れも漏水もありません。

土で作られていますから経年劣化はします。その分は補修工事を施せばよいのです。
耐震構造にしなければならない、とありますが、土構造物の溜め池で満水時、動的解析をして安全な池なんてどこにもありません。
水タンクやオイルタンクも同じでしょう。地震になれば壊れます。

驚いたことには、白倉池の水で耕作している人たちが、こぞって「白倉池改修工事の歎願書」に署名して捺印して、是非工事をしてくださいと主張していることでした。

コロッと手のひらを返していました。親しくしていた人からも、「今回は由良さんに協力できない。
私たちはこの地で生活しなければならないから」と話してくれました。私だって、この地で生きていかなければなりません。

5年前、風力発電の低周波被害で、私が矢面に立って抗議し始めた時、親父が何度も私を諫めてくれたものでした。「放っとけ」、と。
彼らは隣の人が低周波で苦しみながら死んでも笑い者にしています。家族の者であっても知らん顔で無視しています。この辺が風力発電の被害の本質でした。

人が泣きながら苦しみを訴えている。それを見てアホにして喜んでいる。誰もが「関係ない」と薄ら笑いを浮かべる。
全国に今、このような風潮が見られるらしいのです。由良町役場や和歌山県は、風力発電の被害はないと断言しています。

今や全国で私一人が風力発電の被害で地域の人々が苦しんでいる。苦しさが高じて心筋梗塞や脳溢血で被害者がたくさん死んでいる。とアホ正直に抗議しています。