『風力発電の被害』が紹介されている。

youtube動画で、「風力発電被害」と検索したら、私の書いた本を解説している人がいた。さっそく見てみる。どうもじれったい。被害者でもなく、被害地域、計画地の人でもなさそうだ。都会人でもなさそうだが、環境運動会に参加したと言う。それでこの本を手にして読んで頂いたようなのだ。

正直に言って、ご指摘ごもっともと思っている。私が受けた被害を書くのが精いっぱいで、とてもそれ以上の思索、書き込みが足りない。私の能力がないだけなのだ。だから私はジャーナリストにたくさんの資料を提供して、なんとしてもこの被害を世間に伝えてもらいたいと依頼したものだ。10人ほどのライターに頼んだ。

結局誰も書いてはくれなかった。出版社の人に頼むと、ケンモホロロに拒否された。怒られたよ。建設コンサルタント会社で働いていたから設計報告書を書くのは慣れている。まずは体験した事実を並べて、目次を作り、写真やグラフ、新聞記事を入れて製本した。仮製本して10人ほどの人に見てもらった。その反応が面白い。

こちらも真剣だから、相手の中身も透けて見える。低周波被害者になると敏感だからね。ナンヤ、と残念な姿を見た。当時は被害者が苦しみ死んでいく時だ。それを説明しても聞く耳はない。完璧な無視。仲よくしてもらっていると思っていたのは私一人の勘違いだったのだ。この本は由良町では1冊だけ売れた。

畑地区の谷口さんは隣町の本屋に置いてあったこの本を4冊買って知人に送ったと言う。私のことはもう書かないでください、と言った。それが最後の言葉になる。由良町役場では弾圧の嵐だったよ。さて、説明動画に反論する。人が低周波被害を受けて苦しみ死んでいるのに、そのことばかり書いているのは視野狭窄だと言う。

違う。人の命はそんなに軽くはない。簡単なものではない。水俣や福島の被害者弾圧と同じ論理だ。エネルギーだ、地球温暖化だ、と言ったいろんな話と混同すると、何が問題なのか薄められてしまう。低周波被害は悪いことで、さらにその被害を隠ぺいするために、たくさんのトリックを使って人を弾圧する。

人々の精神が破壊される。「ワシらは面白うてならんのや」と。議員たちは腹を抱えて笑って見せた。地域の人々もな。これはもう社会問題だろう。なぜな! というのがテーマであった。そこまで書き切れていない。被害者は、もう人ではなかった。各地の自称、風力反対運動会では「土砂災害が心配」と言っている。

いろんな意見が必要だと繰り返す。とうにその地域には風車病に苦しみ引っ越して行った被害者がいるのに、肝心の論点がすり替えられている。それが地域対策だ。風力発電の被害は進化している。早く二冊目を書かなければと思いながら手が出ない。何度も書きかけてはそのままになってきた。600冊が完売した。

ほとんどが現金引換えである。もちろん赤字だよ。汐見先生の医院を訪ねると、先生の本が段ボール箱に入れられたまま積まれていた。先生を訪ねるごとに、二冊、三冊と、小冊子や本を頂いた。今も全国にそれらの本が行き渡っていると思う。何が問題なのか、何が悪いのか、誰にでも分かっているはずなのだ。

あの戦争の時もそうだったけれど、日本人って、ポピュリズム、洗脳に弱いね。いや、むしろ心理コントロールされることによって浮かれて操られることを楽しんでいる。政治の無能なことよ。オウムparrotのように言われたことの繰り返しだよ。参院選のスローガンを叫んでいる候補者を見ると、アホかいなと思うのだ。

由良町の国道42号を走るとズラーッ、と並んだ風力発電が見渡せる。誰一人風力発電の被害を言葉にする人はいない。タブーだと言うことが、皆さんに分かっているんやね。すごいことなのに、誰もが口をつぐんでいる。モノ言えば唇寒し、とさ。