私は親から引き継いだ駅前アパートの管理人をしています。45年前、三井造船が由良町に来ることになって、地域の百姓たちは、田んぼを埋め立ててアパートを建てることになりました。
今、そのアパートは老朽化して取り壊したり、住む人も少なくなって淋しい状態になっています。
当時の由良町の人口は1万人くらいあって、今は6千人より少なくなっていますから、そしてこれからどんどんと減少傾向がひどくなるようですから経営も難しいことになっています。採算が合わないのです。
私の管理するアパート(東荘)では、当初から三井造船関係の工員さんや道路工事などの人夫さんに利用していただいていました。仕事のある期間だけ、工事期間中だけというケースもあって、わりと繁盛した時代もありました。
最近ではアメリカやヨーロッパの外人さんがたくさん日本に来るようになって、我が家にも、この10年間で100人近くの外人さんが来てくれました。
その中の一人がb and bに登録すると、宿泊客を紹介してくれて収入になるよ、と勧めてくれました。
アメリカやヨーロッパではすでに普及しているというのです。早速登録して宿泊客を迎えることになりました。評価は平均以下で、私のようなズボラな者にはかなり難しいな、と思ったものでした。
民泊というようなイメージは私にはありませんでした。アパートの経営に一生懸命でした。もちろん今もです。
b and b社から民泊の許可証をとって、登録してくださいと連絡がありました。同じ時期に御坊保健所からも民泊の制度ができるのでそれまで旅行業者の登録を消してくれ、と電話がありました。
「登録を消してくれ」と言われてもすでに数組の予約客が次々と来る予定になっています。客商売をしていて、そんなことできるわけがない。たとえ1泊、2.600円の安値でもです。
b and b社からの催促もあって、県庁で確認を取って、御坊保健所に民泊登録の申請に行きました。4回か5回行きましたけれど、それはすごい対応でした。
最初は資料をもらって、書いて出せばよいのだなと了解しました。二回目からは、「由良さんは犯罪行為をしているのです」と繰り返すのです。それも部屋には20名ほどの課員がいて、私の受け答えを聞いています。
そして行くたびに条件が嵩上げされていくのです。デジャブ、既視感がありました。これまで散々に弾圧されてきましたのでね。
具体的に一つ書くと、「民泊の登録に際して自治会長の意見を聞いてください」とありました。私が〈聞いてきました〉と言うと、「民泊の申請資料(約30ページ)を最後まで読んで説明して理解してもらって了解を得てください」と言う。
そして「自治会関係者にも皆さん同じようにコピーしたものを渡して一人ずつ説明してください。最後の一行まで必ず説明してください」、という。さらには、地域住民に集まってもらって会合を持って地区座談会を開いてください」という。
「一人でも反対する人がいれば申請は受け付けません」という。さすがに何が起こっているのか分かりました。アパートの一部屋貸すのに、なんということか。
担当の女は「ヘッヘッ」と笑っていました。県の環境課の人たちと会合を持った時も、被害者が泣いて苦しさを訴えているのに、「へっへっ」とアホにして笑っていたことを思い出しました。
添付資料は、H.24に御坊保健所の課員が畑地区で行われた風力発電の低周波測定の結果、結論がおかしいと指摘した報告書です。
その後、保健所の課長から私に三度電話が繰り返されました。「御坊保健所は風力発電の件には関係しない」吉田課員からも三度、四度、と電話がありました。
「私は何か勘違いをしていました。忘れてください」とか泣きながら言っていました。あまりに何度も電話が来るので「うるさい」と怒鳴って切ったことを覚えています。
その後、吉田課員はすぐにどこかに転勤になったらしいのです。課長さんは県庁で局長となって昇進、出世しました。
畑地区の被害者で苦しみながら亡くなった谷口さんは県庁で偉くなった元課長さんにばったりと会ったそうです。「アラッ、谷口さん、その後の様子はどうですか」と笑顔で話しかけてきたそうです。
谷口さんは泣きそうな顔で悔しがっていました。「人ではない」と。そしてしばらくして亡くなりなりました。
被害者を徹底して弾圧するのは見返りが十分にあるからでしょう。ドイツの戦争記録フィルムには、笑いながらユダヤ人を殺害する兵士の場面がよく映し出されます。
なぜ笑えるのか。一つは殺害すると昇進するとか、勲章をもらうポイントになるんでしょう。
風力発電の被害者を強力に弾圧する人は出世しています。担当の女がつい漏らした侮蔑の笑いはそんな利得のあることが透けて見えました。
低周波被害者になると音に敏感になります。感覚も敏感になります。そして何より、相手の人の感情まで敏感に読み取るようになります。
汐見先生に同行して調査した窪田泰さんとも、よくこんな共通した症状を話し合いました。
担当の女からは蛇のようなにおいを感じました。