山田伸志説

今朝方、被害者の会から送られてきた『音と振動の科学』山田伸志著、2015.1/28を見て、あまりの酷さに驚きました。

日本では、風力発電の低周波音で苦しんでいる人がたくさんいるのに、その苦しさを訴えることができなくなっています。行政が被害を否定して、被害はないと断定して拒否しているからです。

また、「考える会」などを作って被害者を吸収して隠蔽しているからです。たくさんのトリックが仕掛けられていました。この本も被害を否定して被害者を黙らせるための仕掛けの一つです。

ある科学者と話していて、風力発電の被害は、「被害症状」と、「物理現象」が明確にあって、間違いのない公害だと協議しました。これを隠蔽するために、被害者の心理操作と、被害地域の管理があるのだと話しました。
以下、先生のご意見です。

いまは新型の風力発電装置はあまり超低周波音は出さないという説を聞くので、真偽を確かめるため、関連の文献を読んでいます。
Infrasound Emission from Wind Turbines Jorgen Jakobsen, Danish Environmental Protection Agency
URLはhttp://www.windland.ch/doku_wind/noise/Infrasound_Emission_Wind_Turbines.pdf#search=’infrasound+emission+from+wind+turbines+Jakobsen’
著者はデンマークの音響学者で、技術改良を眼ざしているのだから体制側なのでしょうが、結構、真面目な人間のように思われます。翻訳はまだ60%ぐらいです。近いうちにお見せできるでしょう。

さて送っていただいた山田伸志氏の著書をざっと拝見しました。有名な人なので名前は知っていますが面識はありません。この書き物は、いろいろやっているらしいけれど評価できません。彼は被害者の言うことを真摯に聞かず、自分の判断で適当に条件設定して実験したりしているだけで、本人は真面目なつもりでしょうが、科学者としての謙虚さも感じられません。

こういう人が騒音制御学会の低周波音専門家の代表だということは不幸なことです。
私の知る限りでも、「低周波は腹で感じる」のは、感じる人の中の一部の人に過ぎません。被害者はもっといろいろなことをいっているはずです。私も鈍感者の一人だから、実のところはわかりませんが、敏感者でも、人によって感じ方は相当違うらしいということは知っています。

またそのつらさの強度も人により大差があるようです。低周波音被害者が大同団結できない原因の一つは、敏感者にもつらさについて「温度差」が相当あって、ある人の言うことが、他の人には癇に障るということもあるためではないかと推測しているぐらいです。

風力発電に反対しているのは由良さん一人などとは到底信じられません。他にも反対者はいるはずです。ただ反対の仕方が違うことが由良さんには許せないので、反対者は自分以外にいないと感じられるのでしょう。

私がそんな風に考えられるのは。第三者だからだ、いい気なもんだと感じられるかもしれません。でもそういう人を排除したら本当に自分だけになってしまいますよ!

山田氏に比べて、汐見先生は音響学者ではないけれど、科学者としての謙虚さがあり(田中さんから、汐見先生の一連の手紙のコピーを見せてもらいました)、自分は鈍感者だけれど、敏感者がどう感じるのかということを辞を低くして田中さんに教えてもらおうという態度でした。

またわからないことを解明しようとする真摯な態度もにじみ出ていました。低周波音公害には潜伏期があること、個人差が大きいことなどに汐見先生は着目していました。それを理解しようとして、あるときから「左脳受容説」を打ち出しました(この説自体については、私自身、仮説としての価値は認めるけれど、真実かどうとなると、まだ怪しいと思っていますが)。このような科学的な謙虚さ、真摯さが、山田氏には全く感じられません。彼の実験で、潜伏期間などは全く顧慮されていません。

第一、彼の与えた低周波音は、被害者が悩まされている低周波音と周波数分布が違うのではないかと私は疑っています。こんないい加減な想定で研究しているから、由良さんがいうように、環境省に簡単に丸めこまれるのです。つまり心理的な影響が大きいのだ、気のせいだという結論になるのです。

山田氏は、被害者の立場に立っていません。田中さんにも最近話したことですが、人の意見(行動)を左右するのは、1)事実についての認識と2)問題に対する彼の立場です。多くの音響学者と医学者は低周波音公害の存在自体を知りません。つまり1)が決定的に足りません。

(私が科学者会議などで発信しようとしているのは、良心的であっても、問題の存在を知らなければ、科学者も技術者も平気で敵に回ってしまうこともあり得るので、それを少しでも減らすためです。)次に事実を知っていながら、どちらの味方になるかを左右するのは2)彼の立場、つまりお役所や、低周波音発生業者の側につくか、被害者の側につくかということです。

利益に敏感な人は、被害者についてもあまり得なことはないが、役所や業者につけば利益があることをすぐに感じるのでしょう。低周波音には鈍感でも、こういう利害関係には敏感な学者が多すぎます。

以上が私の感想です。