低周波被害が分からない人たちへ

今から40年も前、私は神奈川県の米軍厚木基地にいた。ファントム戦闘機が飛び交い、それはスゴイ爆音を響かせていたものよ。特に2機並んで、ジェットエンジンを吹かすと事務所の窓や机、棚が振動で震えてカタカタと鳴りだすのだ。電話なんかできたもんじゃない。

上司のK所長は初め、「気分が悪くなるとか、何が気が付いたら教えてくれ」と言っていた。田舎者の私には何のことやら分からない。現場を去って1年が過ぎたころ、周辺の住宅地に低周波被害で苦しんでいる人がいるニュースがあった。自宅で寝ていると、ふと鼻血が出ているというのだ。

体調不良とか、抽象的な症状の説明に、私には何もなかったな、とホッとしたことを覚えている。誘導員はみな両耳にプロテクターを付けていた。彼らは身振り手振りで合図を送っていたものよ。ちょうど大韓航空機撃墜事件があった時だから、人々は気がイラ立っていた。

攻撃的?な気配が充満していたかな。それらは今思うと低周波の影響もあったんだろうと思い出している。軍事基地だから、戦争のための施設で働いていたら当然の感覚だろうけどな。そのK所長の親は厚生省のエライさんだったという。30才で現場代理人として活躍するんだから優れものであった。

だから初めから低周波被害があることを知っていたんやね。米軍厚木基地がどういう現場であるのか、知った上での管理体制だった。アホな私はずいぶんと世話になった。迷惑もかけたことよ。彼のフィアレディZのスポーツカーを借りて買い物した帰りに側溝にハマってしまったりと、懐かしい。

私は厚木基地に1年ほどしかいなかったけれど、周囲の人は何でもよく知っていた。土木屋として働いていたら、鋼橋桁に低周波被害があることもな。橋梁メーカーは低周波被害を否定していた。今はどうなんだろう。コンクリート橋が多くなっている。鉄鋼メーカーの政治力もある。

マイナスイメージは、伝えないだろうね。私の書いた『風力発電の被害』は順調に売れている。もう少し詳しく丁寧に書いておけばよかったんだけど、とにかく被害の実態を早く、速く伝えたかったのだ。今もその時の気持ちは変わらない。苦しみながら死んでいった被害者たちには、なんと言っていいのか分からない。

由良町では、誰もそのことに触れるものはない。「伝えないこと」「言ってはならないこと」に真実がある。これはその典型やな。しかしこの本を読んでも、私に敵意と反感を持つ人が後を絶たない。「ヘンッ、ワシらは土砂崩れなんだよ」と吐き捨てられたものよ。専門家が言っているんやで! と叫ぶのだよ。

アレアレ、あんなに風力被害を心配そうに言っていた人が、なんでそんなに急転回しているんだろう、とな。キミもその一人じゃないか。アンタ一人でしょ、とか。s57年の香芝高架橋の低周波訴訟、重機の低周波被害、エコキュート、住金などの工場からの低周波、いろんな低周波の被害が明らかにされている。

これまでは個々の点でしかなかった。今は全国に建設されている風力発電で、それが一気に面的な広がりを見せている。だからさ、普通に考えると「低周波被害はどこにでもある公害だ」と人々に伝わってもいいはずだと思うのだ。海外では、検索すれば分かるように、各国で、それぞれの各地で、風力発電の健康被害に抗議デモが起こっている。

www.windwahn.comとクリックしてみなよ。これが世界の常識やで。ドイツだけじゃない。アメリカでもオーストラリアでも、どこでもそうなっている。じゃぁ、日本の各地でやっている「土砂崩れが心配だ」という自称、反対運動はいったい何を意味するのか。専門家というペテン師は、学者の悪意はどうだ。

吉本喜劇じゃないか。そんなものに環境運動家や、地域の人々が動員されて「自然環境を守りましょう」とやっている。被害者がいて苦しんでいる、なんて話はどこにもない。「低周波の法律も規則も規制も何もない」という国策を隠して、何かあれば対処しますと繰り返してほくそ笑む。

そして結果として規制する法律はない。因果関係は分からないと笑いものにするのだ。水俣や福島と同じやで。公務員にならなくてよかったよ。窓口や担当の公務員は鬼やで。何か言ったら殺されるんやで。この事実を、このページで書いてきたつもりだ。

2019.3/2日、3/3日からのページには、フィンランドの低周波被害の調査結果をアップしています。JGR記事は、小林先生の解説があってとても貴重です。地球物理学を駆使しての調査結果に驚きます。ぜひ考えてみてほしい。

仲間作りと言ってさ、環境運動だサステナブルだとオウムになるより、自分の良心に照らし合わせて、何が悪くて、何が間違っているのか判断しないか。何のために風力発電をやっているのか、行政や政治の言っていることはウソやで。あの戦争の時の大本営の発表と同じで嘘八百よ。

騙されて死んだ人がたくさんいたでしょ。原因がある。外因性の疾患だ。その人に責任があるんじゃない。障害者の病気じゃない。市民風力に被害はない、なんてことはない。測ってみれば分かることだ。日本でも被害に抗議しよう。風力発電を撤去してくれ。苦しくてならんのや。