嘘八百の見本

遠藤周作の『沈黙』は読んだ人は多いだろう。ベストセラーだからね。小説家の文章は、なんて上手いんだろうと思ったよ。以前読んだ九大の生体実験の殺人では、家族の人が書くと300部、遠藤周作や上坂冬子が書くとベストセラーになっていた。どちらも読んで見ると、軍人やそれに協力する医学部教授の恐ろしさがこれでもかと伝わってくる。

米軍が死刑にしたい理由よな。それでも教授の遺族は、関係者による手厚い供養の行事が今日まで続いていると書く。ソクラテスの暗い洞窟の論理だ。アカンやろ、という遠藤周作の展開が見どころだ。良心の痛みか。それで今日の産経記事のアホらしさよ。弱者に対する思いやりだってか。これこそ最初から、風力被害者を弾圧して殺してきた地域対策のコア、核心ではないか。

自民も民主も、ボロボロに被害者を迫害した。公明党や共産党の悪さよ。政治は一致して、低周波音被害、風車病を否定した。雑誌の記事にまでして徹底して否定した。地域対策の環境運動家たちの喜びようよ。彼らの自称、風力反対とはエセそのものであった。「土砂崩れが心配」と今も言い続けているからね。大したものだよ。

アベが『沈黙』を読んだってか。笑えるで。そこにはキリシタンを拷問して殺す場面が延々と書いてある。暗闇に閉じ込めて低周波音で攻めるんだろうか。たちまちにして信者はコロブ、とある。その担当者の優しげな言葉に、転んだ元信者は泣いて後悔した。アベは、そんな場面がとても面白かった。まさか自分が権力者としてそれを実行して楽しむことになろうとはな。

私は、ずいぶんと昔に読んだ本のことを思い出しながら、同じ本を読んでも、人のやることはいろいろよ、と思ったのだ。学校の先生でもさ、生徒から見ると、素晴らしい人だなと思う人もいれば、全然記憶にも残らない生徒もいる。共感と言うのか、縁がなかったとか、大体はそんな所だろう。私は嫌われる半面、えこひいきも体験した。

同級生から見ると、「エーッ」と思ったらしい。最近では、汐見先生や小林教授に親切にしてもらった。これは自慢してよいだろう。さて今日の産経抄の中身よ。政治の混乱をこれでもかと書く。これが日本の政治の姿なのだ。地方政治でも大体同じことになっている。こんなことを仕事にしている人は、さぞや不毛な時間で、せっかくの人生を浪費していることだと私は思っている。

一時の権力に酔ったとしても、それがいったい何の役に立つ。エラそうにしたいだけのことよ。この掛け合いの漫才のような議論を見よ。ワァワァと、犬が吠えているようではないか。昨夜、午前二時ごろのことだから、朝日放送の朝まで、という討論会を少し見た。アホらしくて途中で寝たよ。同じことは脱炭素、カーボンフリーの話だ。

あるはずのないSF話に、技術開発が重要だ、みたいな無責任な言葉が繰り返される。地球温暖化対策というヨーロッパで、ガスや石炭がどうしたというニュースが分からないらしい。もちろんウクライナの事情には立ち入れない。何のための国会議員なんだろう。低レベルとしか言いようはないではないか。これが日本の姿だと思わないか。

日本だけ、「Stop wind turbines!」の言葉がない。これは政治家だけじゃない。我々日本人が、自分の力で気がついて抗議しなければならない現実なんやで。島国根性で、鎖国政策をとる。世界の有様を真摯に受け止めようやないか。ここは日本ですよ、と笑うか。