もう一つの測定データ

h24年、風力発電の低周波被害で、人々が苦しいと言っていた時の話である。私はとうに追放されて誰も話にしてもらえなくなっていた。あちこちで「出て行けっ!」と叫ばれたものよ。低周波被害者の会の窪田泰さんが我が家に来てくれて、低周波測定器の使い方など教えてくれた。各地の被害者宅で、測定実績を積み重ねてきたという。

添付したのは我家と、谷口さんのものである。すぐに谷口さんらは離反する。「私たちは風力発電には反対ではありません」と言うのだから話にならない。窪田さんはカンカンになって怒っていた。しかしな、東伊豆町でも同じことがあったから、既視感、アレアレ、同じ罠に嵌められている、と見抜いたことだろう。

窪田さんを私に紹介したのは谷口さんだ。谷口さんは積極的に全国の風力被害地と連絡を取っていた。東伊豆町にも視察に行っている。内気で引っ込み思案な私とは大違いだ。それで私は谷口さんらとはついに行動を共にすることがなかった。初めから、私は避けられていた。

それが2016年の最後の時まで、夜の8時過ぎまで、何度も私に電話してくるんだから不思議な感覚よな。風力発電の低周波被害を受けると、大体の被害者はこのようにされる典型だ。不思議な出来事は続く。畑地区の被害者たちは低周波測定器NA-18Aを使って、それぞれの自宅で測定データを見ているのだ。

測定器の画面には、空気振動の様子がリアルタイムで表示される。私のyoutube動画「morio yura」に測定風景があるから見た人もいるだろう。なんと2Hzの所で30dbも上下に変化をしているのがその場で見て取れるのだ。周波数2Hzだから人の声でも機械音でもない。気圧変動の実際が見られるのだよ。風車病に苦しむ被害者にとっては不気味なものだ。

被害地域での住民の測定イベントには、役場の幹部職員も参加したという。80dbもの高い音圧を示した時、その人は測定器を上下に激しく振り、「なんやこれは。壊れているんと違うか」と叫んだという。実際に目の前には5本の大きな風力発電が回っている。私も個人的に測ってみたが、本当に2Hzの所で80dbを超えていた。90dbの時もあった。

ファントムやイーグルといったジェット戦闘機並みの音圧だ。被害者宅では夜、寝ていると屋根をドンドンッ、と叩く爆音のような音が響いたという。びっくりして飛び起きたというのだ。それで、なんで我家にこんな測定資料があるのかと嫌な気分になる。彼らは今、「風力の被害など聞いたこともない」と笑っている。

「低周波など関係ない」と叫ばれる。だからこんな測定データを私に投げつけて拒否したんだろう。被害地には国立大の教授の実家もある。連絡したけど拒否された。アホか、というのだ。校長先生などというのもいる。風車建設の際、風力被害の問題点を取りまとめて役場に提出した人もいる。

それなのになんで私を拒否して笑っているのか、無視するのかそれが分からない。風力裁判での彼らの笑いようよ。そんなに私を蔑むことが嬉しかったのだ。八墓村。映画にでもなりそうな場面やね。被害者が死ぬと、手を叩いて笑って喜ぶ。私とは根本的な所で価値観が違うのだ。話が通じないはずだよ。

同じことは伊豆や伊方の被害地でもあって、電話して聞いてみると、「被害はありません」と判で押した答えが返ってくる。質問も何も、取り付く島もない。孤独に立ち尽くすだけ。打ち捨てられた彼らの測定データは、何を拒否して、何に喜んでいるのか、私に示してくれた。この測定イベントのことは私には一切知らされてはいない。

東大の被害調査のことも私は知らない。極秘らしい。なんで私の所にこんなものが転がってきたのかも知るすべはない。あれから10年が経ち、人々はすっかり出来上がっている。『史記』列伝に書いてあるように、さぁ、どうぞ、お気に召す言葉をかけてください。何でも言うことを聞くようになっています。

人々には「考える」という思いがないようだ。「考える会」の成果だ。海外では、風力発電の低周波被害に堂々と抗議している。日本人になぜそれができないものか。簡単に操られて騙されていることに気が付こうやないか。アホは、アホでしかないけどな。