『民衆の敵』を実感したよ。

前ページで、週刊金曜日の記事を紹介したけれど、窪田泰さん以外には、ほとんど反応はなかった。私のページは、風力被害に関心のある人ばかりだから、もしかしたら記事の意味が分かる人もいるかもしれないと思いながら、twitterの反応などを眺めていた。

窪田さんは汐見先生とともに、h19年に伊豆の風力被害の調査を行った。伊豆には優秀なエンジニアがいたらしく、詳細な被害報告書を全国に発信していた。ところがそこに齟齬があったらしい。まもなく彼らは引っ越していなくなり、窪田、汐見両氏は追放される。汐見先生からは、ついにそのいきさつを聞くことはなかった。

窪田さんは、もう怒りカンカンよ。同じことが由良町でも繰り返された。私も大変でしたよ。近くの下津町では、私と同じ農業をしていて、みかん畑と百姓家をそのままにして和歌山市に転居した被害者がいた。同業者だからその気持ちがよくわかる。私の母の実家も有田のミカン農家なのだ。親類にも同じ家業の家がたくさんいるんだ。

私は何とか由良町で百姓しながら暮らしている。以前、畑地区の谷口さんから、「どうせ一人暮らしなんだから、誰にも迷惑かけずに良いではないか」と言われたものよ。あのな、一人で3haの田畑を見る、ってのは大変なんやで。それも風力被害に苦しみながら、周囲の弾圧に苦しめられながら、たった一人で踏みとどまっている。

今回の金曜日の記事では、「低周波被害」という公害が、いかにタブーであったか知らしめてくれた。誰も反応しないし、誰もが無視を決め込んでいた。関係者はカネになるからね。直接関係がない人たちは、「もし被害があるなら、その人が会社や役場に文句を言ったらいいじゃん」と笑っている。これが風力発電の被害の実態よ。

「考える会」など笑い話にもならなかった。これが低周波被害の相場なのか。しかしこの日本で、誰も触れることのない低周波被害に、断固として立ち向かうその意気やよし。一人煌めいているやないか。正解は初めから分かっている。海外では、どの国でも、「風力反対」、「風力発電を止めろ」と抗議している。何の抗議運動もないのは日本くらいだろう。

いや、エセ運動なら、風力事業とセットになって仕組まれていた。なかなか手の込んだ地域対策よ。被害者を否定する報告書まで作って、御用学者を動員して内因性の疾患だとする。風力発電ができたから、頭痛やめまいで苦しいんだ、と言っているのに、ご自分の病気が原因だと言ってはばからないのだ。人でなし。虐待趣味やね。

汐見文隆医師が風力発電の低周波被害について、「外因性の疾患である」と診断した英知に身震いする。彼以外に、風力発電の被害に苦しむものに寄り添った医師がいただろうか。すごい男だったのだ。彼は、由良町の医師に向かって、「キサマに医師の資格はない。医者なんかやめてしまえ」と言い放った。各地の風力被害地を見ると、やはり「金目でしょう」という結論がある。

苦しみながら亡くなった被害者も多い。それなのに家族や近所の人も知らん顔している。恐ろしい現象よ。新聞やテレビでは、あいも変わらず風力発電の宣伝がシレーッと繰り返されている。どうやら由良町だけの無関心ではないらしい。カネのためなら、証明されない被害など、被害ではないのだ。たとえ殺人でも、へっちゃらさ。

私は、谷口さんが亡くなった時に笑い話にされているのを何度も体験した。彼らはそれほど面白かったのだ。私は違う。イプセンの『民衆の敵』と同じく、自分でその魂を汚しては生きてはいけんわな。『民衆の敵』のテーマがやっとわかったよ。そして各出版社の解説に、エンターテイメント、コメディであると書く理由も。風力発電の行き着く先は破局でしかない。

ナチス運動みたいなものよ。最初は冗談のようなごく少数のユダヤ人差別だった。それが障碍者の抹殺、優生思想、ホロコーストにまで転落していく。誰にも止められなくなっていたのだ。今、誰か風力発電を止めようと抗議しているか。下記の写真を見るがよい。彼らは怒りをあらわにして「No Wind farm」「Stop wind turbine」と訴えているではないか。日本人も正気に戻ろう。

被害にあったら、まともに怒ろうではないか。少なくとも、風力発電の被害に苦しんでいる人がいたなら、へっへっ、アホやな、と笑うのは止めようやないか。汚れちまった悲しみに、今日も風力被害、低周波の苦しみが舞う。