御坊市周辺の風力発電に反対しましょう。③

御坊市周辺の風力発電に反対しましょう。③

4/16日、御坊市や美浜町、日高町の海岸付近に住んでいる、以前、原発反対運動した人たちと話しました。もう40年も前のことですから、それぞれ70歳を超えていて、今も元気に活躍しています。

「風力発電は、いったい誰がやってるんよ? そりゃ今回はパシフィコとかいう会社が建設するとか言うてるけど、運営はまた別の会社やろ。そしてすぐに転売して、大阪ガスなどの大会社の子会社になったりする。最終的には関電に電気を売るんやろけど、誰がやっているのか分からんわけや。経営者もコロコロ変わる」

漁師をしている割にはエライ本質的な質問でした。

たぶん誰も分からない。私も答えに困った。

「政治家で風力発電に詳しい人は誰もいません。官僚、公務員でもない。環境省や経産省がやっているのかと言うと、そうでもない。関電だと単独で発電事業をしているわけだし、そういう固い会社でもない。吹けば飛ぶような張り子の、ダミーの、小さなレンタル部屋に事務机と電話があるだけの会社でしょう」

「由良の風力発電でも、転々と経営が変わったやろ。いったいなんやと思った」

畑地区の谷口さんの実家は漁師なので、漁師仲間で風力被害の話は十分に伝わっていた。なんせ畑地区の自宅に夜、居られないので日高町や美浜町の海岸へ来て朝まで過ごしたらしいのだ。

目の前の淡路島にも、たくさんの風力発電があって被害に苦しんでいることなども漁師の間で広がっていた。紀淡海峡は彼らの仕事場なのだ。

7年前、日高町でも山の中にたくさんの風力計画があって、以前、原発反対運動していた人たちが地域の人たちと話し合って、住民投票して75%の反対票で中止となった。由良町の風力被害が他山の石となった。環境運動家たちがせっせと風力被害を否定したが通じなかった。小さな山一つで、由良町とは、なんでこうも違うのか。

「しかし2マイルも3マイルも沖合に建つとなったら、公海になるから漁業権は及ばない。何を根拠に話ができるか分からない」

「低周波被害があるからと言うしかないでしょう」

私は「アレ」と思いながら、あまり反対の意思のなさそうな言葉に疑問を持った。

3km4㎞沖合なら、高さ200mの鉄塔もさすがに小さくなる。しかし水深が急に深くなるではないか。ここは台風銀座だから、毎年たくさんの大型台風が通過する。直径5mの鉄パイプのタワーなど吹き飛んでしまう。

私は土木設計をしてきたので多少の知識があるのだが、陸上でも高さ200mの鉄塔は相当な基礎工事が必要になる。それが沖合だと水深50mとしても、どんな基礎工事になるんだろうと現実的でない計画に疑問でいっぱいになる。やってやれないことはないが採算があるし、周囲への影響は大きくなる。トラスを組んだり係留索が必要になる。ヨーロッパのように遠浅の海ではない。

たぶん海岸近くの海岸段丘だろう。紀伊半島は沈下したり隆起したりで教科書に載るほど海岸段丘が発達している。

1km沖合に建つのが精いっぱいだと考える。

海岸近くには民家が建て込んでいる。たくさんの人が暮らしている。せいぜい1km離れた風車からは強烈な低周波空気振動と、シャドーフリッカーがある。もしこんなものが建設されたら全国有数の海岸風力発電の被害事例として恐怖が走ることになる。

「若い者らに任せている。原発の時はやり過ぎた。穏やかにな。いがみ合うのはもう止めたい」

40年前に、原発建設の反対、賛成で地域は大変な混乱に襲われた。家族同士でも、口もきけないほど人々は引き裂かれたと聞いている。そういういがみ合いはもうしたくないと言っていた。私はよそ者だから発言する権利はない。用意した10ページほどの資料を渡して次の漁師たちの所へ行った。

今回の県議選では共産党候補が御坊市で当選した。漁師たちは共産党なら風力発電などの利権誘導の政治に立ち向かってくれると信じたらしい。そのように話し合ったし、自民党から少し離れたらしい。

しかしその議員は「再エネで地域おこしをする」と堂々と新聞で訴えている。共産党は低周波被害を認めないし、再エネを50%に大幅に増やすと公約を掲げている。

「自民党は悪いけれど共産党もアカンで」と私は知っていることを話した。風力発電はファシズムで全体主義なので、誰も反対する議員がいない。

「原発を計画したところか。何か使い道があるんやったら利用すればよいかもな」

「あかんよ。低周波被害があるやないか」

私は由良町の被害状況を説明して聞かせた。何度言っても分かっているのか聞いてくれているのか、真意はつかめない。たまたま親父の弟たちを知っていたらしい。私のことも知っていて、拒否はしていないようだった。そしてこれから地域の人たちと話し合ってどんな話になるかやってみるわ、と言ってくれた。

昔は随分と激しく反対運動を戦ってきた人なのだ。それが40年経つと年取って穏やかな年寄りになっている。私が風力被害を受けて低周波病で苦しくて、いつもカリカリしていると言うと「分かっている」と彼らは言ってくれた。やっぱり風力被害のことを知っているのだと思った。

帰り道、不思議に思ったのは、彼らはなぜ私を憎んで拒否しなかったんだろうか、と考えに耽った。畑地区の谷口さんでさえ、私に「出ていけっ」と叫ぶようになっていた。畑地区では誰とも話が出来なかったが、それは私の住む門前地区でも同じありさまだった。私は総スカンだった。

漁師の一人が言うには「谷口さんは、由良では誰も一緒に被害を訴える人がいない」と嘆いたという。

ウソばっかり。よくもそんなウソを隣町まで来て漁師仲間に吹いたものよ。フッと谷口さんの弱さが分かったような気がした。

由良町と、日高町ではこれほどの意識の開きがあるのだ。私の祖母と曽祖母は日高町の出です。ですから日高町のことはよく分かるし、由良町とそんなに違うとは思えない。何がこうも意識の差を大きく開いて断絶させているのかと思いました。

原発も風力発電も同じことなのだ。私たちはすっかり騙されていたし、今も魔法にかけられていることを思いめぐらした。きっと他の被害者も、由良町ではない他の地域の知人に本音を漏らして、苦しさを訴えていることでしょう。それだけ由良町は缶詰めになって圧力が加えられている。言論の自由はない。みなさん命がけよ。

とりあえず、御坊市周辺の話になる運動家さんには資料を渡して説明しました。私の目的は、自分の低周波被害をなくすことだけれど、いつも買い物する生活権内にこれ以上風力発電を建ててほしくはない。

風力発電の建設計画というだけで、いやでもその人の内面が表に現れる。原発運動の時とおんなじことよ。地域が潤う。地域活性化。自然エネルギー。被害が必ずあるのに誰も責任を取らない仕組みがある。その事実を漁師たちは既に知っていた。私のこともとうに知っていたんだろうと思った。若手の皆さん、ぜひストレートに「風力発電お断り」と判断してください。