小林先生からの伝言です。

今、甘夏採りをしています。毎年アルバイトの人たちに来てもらっています。
その一人が言うには、「風力発電で死ぬことはない。それは寿命や。年寄りばっかりやろう」と強く主張するのです。

あるいは、隣の農園の人は、「ワシらは町長の言うことが正しいと思っている。あなたは何か被害があると言いながら、毎日元気に仕事をしているやないか」と叱りつけるように言うのです。

私は、すぐに気が付きました。紋切り型の受け売りの言葉の繰り返しでした。
私が資料を渡して説明しても聞いてもくれないのに、役場や議会で繰り返し聞かされる「風力発電被害の否定」の言葉はしっかりと自信を持って話しているのです。

彼らは、それが正しいことだと信じていました。正義感を持って、権力の一端に加わる資格を持った、ということでした。
名著『自由からの逃走』にはその心理過程が詳細に記されています。恐ろしいマインドコントロールでした。彼らは行政から命じられれば何でもするでしょう。

罪の意識を持つことはありません。
小林先生は、汐見先生の盟友です。先生の書いた本には、何度も香芝高架橋の低周波事件のことが出てきます。

小林先生の報告書にも、汐見先生のことが出てきます。
また、汐見先生の最後の手紙を添付します(伏字があります)。

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由良さん そういう偏見に負けてはいけません。声高に反論するかどうかは別にして・・・。その人は、自分が分かる以外のことは「存在しない」と信じる単純な理解力の人なのです。
こういう人たちに理解させるのは、ある意味で一番難しいかもしれません。

かくいう私も「低周波音鈍感者」ですから、自分としては低周波音のつらさは実感できません。でも、低周波音に敏感な人たちがおり、そのレベルは様々だけれど、人によっては死ぬほどつらいらしいということも知っています。

このことは、あなた方の話を聞き、いろいろな文献を読み、世の中の動きからみて確実な事実であると考ええいます。

「原子」なんて誰にも見えないけれど、今時「原子」は存在しないなんて言いう人はいないじゃありませんか?そんなことを言ったら笑われますよ。
「低周波音公害」はその小の問題だと僕は思っています。

低周波音公害以外にも、そういう少数者の悩みを私たち十分理解しているでしょうか?世の中には、そういう虐げられている少数者はかなりいるのでは?

— 汐見先生の最後の手紙 —