被害補償では終わらない

今、山本節子女史のWONDERFUL WORLD 2016.12/4日付けに、小林芳正先生が活躍した当時の国会答弁の様子が記載されています。

1984年7月、西名阪自動車道 香芝高架橋問題 科学調査団による『超低周波空気振動の物理的解明と健康被害の実態 調査報告書』は、時代の要請とはいえ、その時から公共工事だけでなく、広く一般に低周波被害の実態を知らしめることになりました。
私も、この事件で低周波被害のことを知ることになりました。

40年も前、国会では、環境庁に対して、「被害が出ているのに基準ができていない。被害者をほっときますか」と元医師の議員が訴えています。
実は、この事件では、被害者たちは一定の補償がなされて和解したそうです。私も香芝高架橋で大改修工事が長く行われていたことを覚えています。

それから逆襲が始まりました。「低周波は人体に影響しない」という大ウソです。
低周波被害の辛い症状は、「更年期障害」だとか、「遺伝」だとか、精神疾患だと洗脳されてきました。たくさんの学者が協力して関わりました。

毎年のように被害を否定して、うやむやにする研究、調査報告書が作成されました。水俣病のやり方でした。
由良町の畑地区では、それが禁忌、タブーとして忌み嫌い、被害者を差別してバカにする村八分にまでなっていました。

谷口さんは考える会のメンバーでしたが、「風力の被害補償として、会員は2万円くれることになる。一般の人は1万円になる。」と話してくれました。
それが一般の人も同様の補償金額にしてほしいと問題になっていることも。

谷口さんは、「誰が、そんな金いるか !  意地でも、もらうかぁ ! 」 と怒っていました。たぶん、死んだ人はもらえないんですよね。
風力発電の低周波音に苦しみながら死んだのに、一番の被害者がバカにされて、差別されて、社会が引き裂かれることになりました。

なぜ、誰もこの悲惨な公害を、役場の悪行を非難しないのですか。
私を悪者扱いして、何が嬉しいのですか。信頼関係こそが、私たちの社会の基盤だったではないですか。

地域対策の成果だということは、とうに分かっていました。全国で同じ対策が行われていました。いくつもの悪意に満ちた仕掛けがありました。
畑地区は、元々、由良町の山間部で閉鎖的な地域でした。130世帯、400人ほどの集落です。私の親父は深く関わることを何度も注意してくれました。

小集団、小さなチームとして、排他的な関係を作りました。外部からの情報を可能な限りシャットアウトです。まず私の排除が一番の目的でした。
谷口さんでさえ、私が訪ねていくと「出ていけ」と叫ぶようになっていました。

外部からの環境運動家たちの連携も見事だった。ドイツと同じように、彼らこそが風力や太陽光の自然エネルギーを推進していました。アセスをちゃんとやりましょうと。
由良町の総人口は6.000人ほどですが、集落ごとの交流はあまりなく、隣町のこととなると、ほとんど情報はありません。

小さな集団を支配するルールや価値観は、これまでの公害、水俣病で磨きあげられていました。秘密結社です。
低周波被害による被害者はごく少数です。しかも被害レベルは相当な幅があります。

被害者たちが集められて、真面目に話しあったことと思います。(聞き取り調査が行われた)
人は優しくされると裏切れない。裏切られることを恐れる。グループから認められていると信じて、主催者を裏切れない。

地域社会で生きていくしかない重みと、自分の被害感情に対する偽の優しさの誘い、信義や人間味を装いながら冷酷に計算された洗脳が行われた。
風力発電の協定書を見れば明らかだろう。嘘八百よ。

低周波音被害は頭をやられます。考えることができなくなり、主体的に判断する能力が低下します。ロボットのようになると支援者の人たちは表現します。
心理的圧力で抵抗することができない状態になるようです。

このような事態をコミュニケーションとか、地域の理解とか言いますか。私は「弾圧」だと考えています。
私は、本人が一番大切だと思います。低周波で苦しみながら死んでいるのを間近かで見ながら、自分の頭で考える余裕をなくして、受け売りの言葉を自分の言葉だと勘違いしている。

親切な顔をして、地域の問題として一生懸命に活動しているように見えて、いつの間にか被害者の懐に入り込み、人の心をコントロールする。
被害者は、それを正しいことだと信じ込んでいる。

もし、まだ可能性があるなら、冷静に考えてほしい。本来の『自己価値』を取り戻してほしい。
他人の言いなりになって苦しめられるのではなく、人として溌剌として自由に、健康に生きていくために抵抗してほしい。