これで議会の私への懲罰動議が、いかに非常識なことか理解、勉強してほしいものです。

前回の申し入れに対して、さらに通知書を提出しました。
笠原弁護士の言によると、平成25年の名古屋高裁の判例により、私に対する懲罰は違法であるということです。
平成26年9月議会一般質問では、発言は5分間ルールとか、根拠のない風評被害とか、品位の保持とか、取り消しを命じるとか、憲法第15条とか、田んぼのねきで話することとか、町益とか、受忍をしなければとか、不適切な発言とか、陳述、開陳とか、今回もさらなる名言をいただきました。
惜しむらくは、被害地域の人々が誰一人として関心を示さなくなったことです。これは全国の被害地で同じことが起っています。囚人として、人間の尊厳を奪われて、機械仕掛けで動くだけの第三者となった人たち。「ワシらは関係ないんょ」、「そういう人もいてらの」、「誰もうるさいなんて言う人いてへん」。そうですか。よかったね。低周波音で被害にあって、苦しんでいる、抗議している、という構図になりました。全国で、私一人でしょうね。
ああ首が痛い、耳鳴りがする、耳が痛い、頭が重い、体がしんどい、夜に目覚めるのでいつも眠くてしょうがない、性格も刺々しくなった。農作業が進まない。友達が誰もいなくなった。誰とも喧嘩ばかりしている。部屋の空気がワンワンと鳴っている。

以下、由良町議会への通知書と判例で確定した処分撤回の事例です。

〒649-1111 和歌山県日高郡由良町大字里1220-1
和歌山県日高郡 由良町議会 上野議長 様

通 知 書

平成26年9月19日
〒914-0041 福井県敦賀市布田町84-1-18 みどり法律事務所
℡ 0770-21-0252 FAX 0770-21-0253
由良 守生 代理人
弁護士  笠 原 一 浩

お世話になっております。
当職は,由良町議会議員である由良守生(ゆら もりお)から、由良に対する懲戒処分への対応(以下「本件」)につき依頼を受けた代理人として本書を呈します。
小職は、5月7日付けで上記の件について申し入れを行い、貴議会に対し、
① 3月14日付け申し入れについては、「2」で述べたとおり、その適用を慎重に行うこと
② 3月18日付け懲戒処分を撤回すること
③ 議会中継の不許可処分を撤回すること
④ 4月12日付け条例改正を、由良に対する懲罰に適用しないこと
を要請しました。
にもかかわらず貴議会は未だに、上記要望に応じることなく、そればかりか、懲罰特別委員会において更なる処分を行おうとしています。
この点、名古屋高裁平成25年7月4日判決(判例時報2210号36頁)は、本件類の事案において、陳謝処分に従わず、陳謝文の朗読を行わなかったという懲罰事由での除名処分は違法であるとして、町議会が行った除名処分を取り消しています。かつ、今後、貴議会が由良に対して更なる処分を出した場合、既に上記判決が出た後の処分であることから、貴議会は、当該処分が違法であることを認識しつつあえて行ったことになります。
つきましては、5月7日付け申し入れの内容を改めて求めると共に、由良に対する処分を行わないよう、強く求めます。
以  上

【判例番号】 L06820345
議員除名処分取消等請求控訴事件
【事件番号】 名古屋高等裁判所判決/平成25年(行コ)第18号

【判決日付】 平成25年7月4日

【判示事項】 町議会議員であった控訴人に対する除名処分の取消し,国賠法に基ずく慰謝料と謝罪広告の掲載,未払議員報酬の支払,受領済議員報酬の返還債務不存在を求めた事件で,原審が請求の全部を棄却したのに対し控訴した事案。控訴審は,原判決を変更し,除名処分について,議会運営員会の「議員に対する本会議での謝罪等」の決定は違法な決定である。陳謝処分に従わず、陳謝文の朗読を行わなかったという懲罰事由での除名処分は,社会観念上著しく妥当性を欠くとし,除名処分は取消し,国賠法に基ずく,慰謝料と謝罪広告については,故意・過失はないとして棄却。議員報酬請求は認容,受領済議員報酬返還債務も不存在とした事例

【参照条文】 地方自治法134

地方自治法145

【掲載誌】  判例時報2210号36頁

LLI/DB 判例秘書登載

主   文

1 原判決を次のとおり変更する。
2 美浜町議会が控訴人に対し平成23年3月17日付けでした,控訴人を美浜町議会議員から除名する処分を取り消す。
3 被控訴人は,控訴人に対し,23万6833円及びこれに対する平成23年4月22日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
4 控訴人の被控訴人に対する平成23年3月18日から同月31日までの議員報酬8万7367円の返還債務が存在しないことを確認する。
5 控訴人のその余の請求をいずれも棄却する。
6 訴訟費用は,第1審,第2審を通じてこれを5分し,その3を被控訴人の負担とし,その余を控訴人の負担とする。
7 この判決は,第3項に限り,仮に執行することができる。

事実及び理由

第1 控訴の趣旨
1 主文第1項ないし第4項同旨
2 被控訴人は,控訴人に対し,500万円及びこれに対する平成23年3月17日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
3 被控訴人は,被控訴人の費用をもって,控訴人のために中日新聞知多版,朝日新聞知多版及び毎日新聞愛知版に原判決別紙1記載の謝罪広告を同別紙記載の条件で各1回掲載せよ。
第2 事案の概要
1 本件は,美浜町議会議員であった控訴人が,同町議会から平成23年3月17日付けで除名処分を受けたところ,同処分は違法であるとしてその取消しを求めるとともに,同処分により控訴人の名誉を毀損されたとして,被控訴人に対し,国家賠償法1条1項に基づき,慰謝料500万円とこれに対する不法行為の日(同処分の日)である平成23年3月17日から民法所定年5分の割合による遅延損害金の支払並びに謝罪広告の掲載を求め,さらに,地方自治法203条に基づく平成23年4月分の未払議員報酬として23万6833円とこれに対する支給日の翌日である平成23年4月22日から支払済みまで民法所定年5分の割合による遅延損害金の支払並びに同年3月分(同月18日から同月31日までの日割分)の受領済み議員報酬8万7367円の返還債務の不存在確認を求める事案である。
2 関係法令等の定め,前提事実,主要な争点及び当事者の主張
以下のとおり,付加補正し,次項で,当審で当事者が補充又は敷衍した主張を加えるほかは,原判決「第2 事案の概要」の「2」ないし「5」に記載のとおりであるから,これを引用する。
(1) 原判決2頁22行目の「別紙2」を「原判決別紙2」と改める。
(2) 原判決3頁19行目の「議長」の後に,「(以下「谷川議長」ともいう。)」を加える。
(3) 原判決3頁20行目の「乙21」を「乙15,21」と改める。
(4) 原判決4頁5行目の「再度懲罰特別委員会で審査を続行する」を「閉会した懲罰特別委員会を再開し,控訴人に対する懲罰について,再度審査する」と改める。
(5) 原判決4頁12行目の「乙15」を「乙15,21」と改める。
(6) 原判決4頁18行目の「平成23年4月分の」を「平成23年4月21日に,同月分の」と改める。
3 当審で当事者が補充又は敷衍した主張
(控訴人の主張)
(1) 本件陳謝処分には,懲罰事由はなく,また,陳謝処分という懲罰を科すべき事情も存在しない。
ア 控訴人は,町の農業政策について,問題とする土地上に建築されるレストランの件も含めた一般質問を行っており,町長の発言を受け,再質問として,さらに,不自然な農業振興地域からの除外決議も含めて一体どうなっているのかを明らかにするよう質問する中で,本件発言をしたものである。こうした本件発言に至る流れからすれば,本件発言だけを取り出して,「議会の品位」を傷つけ,「無礼の言葉を使用し」た場合に当たると判断するのは相当ではない。むしろ,多少軽率な表現はあるかもしれないが,全体としてみれば,農業政策に関する有意義な一連の質問をなしているのであって,「議会の品位」を傷つけ,「無礼の言葉を使用し」た場合には当たらない。
イ また,控訴人は,農業委員らに直接確認した上で,本件発言に至っているのであり,「事実関係の調査,確認を全く行わず,確たる根拠もないまま」,本件発言に至ったわけではなく,議長と議会運営委員会の江元委員長による関係者への不十分な事情聴取の結果,本件発言が根拠のないものとされてしまったため,やむなく真意でないにもかかわらず,謝罪をすると言わざるを得ない状況に追い込まれてしまったものである。さらに,実際にせんべいが配られたことは事実であり,もともと,本件で問題となる土地にまつわる疑惑は,地元では少なからず話題となっており,住民が強い関心をもっていたものであって,同土地に関する事情は,極めて公共性の高い情報であることを踏まえると,本件発言に対し,懲罰という言論抑止効のある重い処分を下すだけの理由はなかったものである。
(2) 仮に,本件陳謝処分自体に正当性が認められたとしても,地方公共団体の議会がその議員に対する懲罰として,除名処分に付しうるのは,その議員が議場若しくは議会において議会の品位を汚し,その権威を失墜する言動または議場若しくは議会の秩序を乱し,議事の円滑な運営を阻害する言動に出た場合で,しかもその非行の情状が特に重い場合に限られるものと解すべきところ,本件発言及びその後の控訴人の行動(陳謝拒否)が適切さを欠いたものであったとしても,これに対して除名の懲罰をもって臨むことは著しく重きに失し,その原因となった事実に対し,社会通念上著しく均衡を欠くというべきである。
また,本件では,懲罰のプロセスに本来関与すべきではない町長が,議会運営委員会に対して申入れを行い,議会運営委員会の場で懲罰特別委員会の決定(10日間の出席停止処分)に文句を言い,「除名」へと格上げされるという異常なプロセスを経て除名処分が下されている。本件除名処分は,町長による実質的な懲罰特別委員会への働きかけの結果であり,こうした町長の働きかけは,議会の自立性を損なうものであるから,懲罰特別委員会における控訴人に対する処分の変更には,手続上の違法がある。
そして,懲罰特別委員会は,本件発言のみに着目し,本件発言と一体として検討すべき事項に関する控訴人の弁明を聞き入れようとはせず,控訴人は,本会議において,全議員の前で弁明をする機会を与えられていないのであるから,十分な弁明の機会が与えられたとは到底いえない。
さらに,議会運営委員会による「本会議での謝罪や町長に対する謝罪文の提出を内容とする決定」は,本件陳謝処分よりも前に下されたものであり,当然,当初の懲罰特別委員会等において議論され,本件陳謝処分において考慮されているべき事情であるし,実際上,考慮されていることは明らかであるから,本件除名処分において,控訴人による上記決定の拒否を考慮事情としたことは,一事不再理に反する。
(被控訴人の主張)
争う。
本件発言は,親和会の議員や町長が贈賄行為に関与していることを示すという著しく他人の名誉を害する発言であるにもかかわらず,その根拠は全くなく,控訴人の勘違いによりなされたものであったため,本件陳謝処分を科するに至ったのである。しかしながら,控訴人は,本件陳謝処分に従わなかったばかりか,これとは別途,議会の慣例上,議会運営委員会により決定された町長への謝罪及び謝罪文の提出,発言撤回を行うことについて同意するも,それを直前で拒否するという態度を繰り返したものである。このような事情のもと,最終的に本件除名処分が科されることとなったものである。したがって,本件では,懲罰事由があり,処分として相当であり,手続的にも適正な手続に則って処分が行われているものである。
第3 当裁判所の判断
1 本件除名処分に至る事実経過
以下のとおり,付加補正するほかは,原判決「第3 当裁判所の判断」の「1」に記載のとおりであるから,これを引用する。
(1) 原判決10頁2行目の「谷川梅太郎議長」を「議長」と改める。
(2) 原判決10頁10行目から11行目にかけての「天木角光委員及び鵜飼泰弘委員」を「天木委員及び鵜飼委員」と改める。
(3) 原判決10頁21行目の「江元梅彦委員長」を「江元委員長」と改める。
(4) 原判決10頁23行目の「磯部輝次議員」の後に,「(以下「磯部議員」という。)」を加える。
(5) 原判決10頁24行目の「山本又市議員」の後に,「(以下「山本議員」という。)」を加える。
(6) 原判決11頁9行目の「委員長」を「江元委員長」と改める。
(7) 原判決12頁4行目の「話」を「噂話」と改める。
(8) 原判決12頁19行目の「議会事務局」を「議会事務局長」と改める。
(9) 原判決12頁20行目の「拒否する」を「しない」と改める。
(10) 原判決12頁24行目の「山下町長」を「町長」と改める。
(11) 原判決16頁1行目の「懲罰特別委員会のやり直し」を「懲罰特別委員会での審査のやり直し」と改める。
(12) 原判決16頁18行目末尾に,改行の上,以下のとおり加える。
「カ その後,議長は,本件発言が不穏当な発言であるか否かについて,後刻自ら調査をした上,措置する旨を報告し,閉会宣言をした。(乙21)」
2 本件除名処分の適法性について
(1) 本件陳謝処分について
以下のとおり,付加補正するほかは,原判決「第3 当裁判所の判断」の2(1)に記載のとおりであるから,これを引用する。
ア 原判決16頁26行目の「事実関係の調査,確認を全く行わず」を「事前に,十分な事実関係の調査や確認を行わずに」と改める。
イ 原判決17頁20行目の「「作り話」であったこと」を「「作り話」のようなものになったこと」と改める。
ウ 原判決18頁2行目の「作り話」を「作り話のようなものになった」と改める。
エ 原判決18頁11行目末尾に,改行の上,以下のとおり加える。
「その他,控訴人は,本件陳謝処分には懲罰事由はなく,陳謝処分という懲罰を科すべき事情も存在しないなどと,るる主張し,本件陳謝処分は違法であると主張するが,上記説示したところによれば,いずれも理由がない。」
(2) 本件除名処分について
ア 懲罰事由の有無及び処分の相当性について
(ア) 地方議会の議員に懲罰事由がある場合に当該議員に対して懲罰処分を行うか否か,地方自治法135条1項が定める懲罰の種類のうちいずれを選択するかについての判断は,自律的判断権を有する地方議会の合理的な裁量に委ねられるべきものであるというべきであるから,当該懲罰処分が,社会観念上著しく妥当性を欠き,裁量権の範囲を超え又はこれを濫用したものと認められる場合に限り,違法となるものと解するのが相当である。
(イ) 懲罰事由の有無について
前記1で認定した事実(原判決引用(付加補正後のもの))によると,本件除名処分においては,「本会議で議決された陳謝の懲罰で,議長に陳謝文の朗読を命令されたにもかかわらず,朗読を拒否したこと」のほか,「本会議において,議会運営委員会の決定に背いて,謝罪文を提出しなかったばかりか発言を約束していた謝罪の言葉を拒否したこと」をも懲罰事由とするものであるところ,控訴人は,前記(1)(原判決引用(付加補正後のもの))のとおり適法にされたと認められる本件陳謝処分に従わず,議長に命じられた陳謝文の朗読を行わなかったものであり,これは,地方自治法134条1項,135条1項2号に違反したものというべきであるから,控訴人には同法違反の懲罰事由が存在する。
しかしながら,議会運営委員会は,政党や会派間の調整が議会運営上大きな役割を果たしていることに鑑みて設けられた制度であり,その審議事項は,平成24年法律第72号による改正前の地方自治法109条の2第4項に法定されており,この事項以外の審議事項はないものと解され,議員に対して本会議での謝罪や町長宛ての謝罪文の提出を要求する等のことを決定することはできないというべきである上,本件においては,本会議において,控訴人の本件発言につき懲罰特別委員会を設置し,これに付託して審査することが決定され,その委員7人が指名され,町議会としての懲罰処分の手続が開始された直後に,これとは別に,議会運営委員会が独自に,かつ,控訴人の弁明等を聴取することもなく,地方自治法135条1項2号の定める懲罰(公開の議場における陳謝)と実質同等のことを決定したものであり,違法,不当な決定というべきであるから,控訴人が同決定に従わなかったことは,懲罰事由となるものではない。
(ウ) 処分の相当性について
上記(イ)のとおり,本件においては,本件陳謝処分に従わず,議長に命じられた陳謝文の朗読を行わなかったという懲罰事由がある。
しかしながら,本件発言が,地方自治法132条の「無礼の言葉」に該当するものであることは前記説示(原判決引用(付加補正後のもの))のとおりであるが,控訴人が,本件発言の内容が全く根も葉もない虚偽の話であると認識し,あるいは容易に認識し得たにもかかわらず,本件発言に至ったものとは認められない。そして,本件発言の内容も,親和会の議員や町長が特別職の地方公務員である農業委員に対する贈賄行為をしたという噂話を聞いたというものであって,ことさらに事実をねじ曲げて脚色するなどして,親和会の議員や町長をおとしめようと意図していたことはうかがわれない。そして,「本件発言が不穏当な発言であるか否かについて,後刻調査をした上,措置する」旨の,本会議閉会前の議長の発言からすると,関係者の聞き取り調査に当たった議長においても,本件除名処分がなされた時点で,本件発言が明らかな虚偽発言であると断じきることができる状況になかったものと認められる。
また,本件陳謝処分が科された後の,同処分自体についての控訴人の対応は,議長の命じた陳謝文の朗読を拒否し,その後開かれた懲罰特別委員会で,拒否の理由を弁明し,「懲罰を受けるような問題ではないと思った。」等と発言したにとどまり,新たに無礼の言葉や侮辱等として問題にすべき発言に及んだり,議会の運営を妨げ,あるいは,その混乱を招くような不適切な行動に出た形跡は何ら見当たらない。
加えて,懲罰特別委員会において,本件陳謝処分に応じなかったことに対しては,一度は出席停止処分が相当との決定がされており,その後,この決定を聞いた控訴人がことさら議会を軽視した反抗的・挑発的な態度に出て,その言動が議員としての信頼を著しく損なうと評価されてもやむを得ない程度・態様に至ったというような事情,すなわち,懲罰を除名処分に変更しなければならないような言動が控訴人にあったとも認められない。
こうした事情に加えて,本件除名処分においては,前記のとおり,懲罰事由とはならない事情が考慮されていることや,懲罰特別委員会が懲罰の種類を選択する際に同日が本会議最終日であったことも少なからず影響していたことがうかがわれることをも考慮すると,本件陳謝処分に従わず,議長に命じられた陳謝文の朗読を行わなかったという懲罰事由に対して選択された本件除名処分は,社会観念上著しく妥当性を欠くものといわざるをえず,議会の自律権に基づく裁量権の範囲を超え又はこれを濫用したものというべきである。
(エ) これに対し,被控訴人は,控訴人が本件陳謝処分に従わなかった上,議会運営委員会により決定された町長への謝罪及び謝罪文の提出や発言撤回を行うことに同意しながら直前で拒否するという態度を繰り返したという事情をもって,本件除名処分が相当な処分である旨主張するが,既に説示したとおり,議会運営委員会による,町長への謝罪及び謝罪文の提出を要求する決定は違法,不当というべきであり,控訴人がこれらにいったん同意しながら直前で拒否するという態度を繰り返したという事情は,懲罰事由にも,控訴人の悪質性を示す情状にもなるものではなく,かえって,本件除名処分が議会の自律権に基づく裁量の範囲を超えたものであることを基礎付ける事情であるというべきであるから,主張自体失当であるというべきであるし,控訴人が本件陳謝処分に従わなかったことは,前記説示のとおり本件除名処分を相当とするには至らないというべきである。
その他,被控訴人において,るる主張するところを加えて検討しても,前記判断を覆すには至らない。
(3) 以上によれば,本件除名処分は,違法であり,取り消されるべきである。
3 国家賠償法1条1項に基づく請求について
(1) 前記2で説示したとおり,本件除名処分は違法なものであるところ,美浜町議会議員らがこのような違法な本件除名処分をするに当たり,故意(本件除名処分が違法であることを知りながら同処分をした。)又は過失があった(本件除名処分が違法であることを知らないで同処分をしたことに過失がある。)か否かについて検討する。
(2) この点,確かに,本件除名処分は違法な処分であったと判断されるものの,控訴人には本件陳謝処分に従わなかったという懲罰理由が存在していたことは前記説示(原判決引用(付加補正後のもの))のとおりであり,本件懲罰動議2に対する当初の懲罰特別委員会の審議においても,除名にすべきとする者と出席停止にすべきとする者とが同数であり,最終的には江元委員長の決により出席停止と決定されたものであったことをも斟酌すると,本件除名処分に賛成した美浜町議会議員らにおいて,本件除名処分が違法であることを知りながら,同処分に賛成の決議をしたことや(故意),同処分が違法であることを知らないで賛成の決議をしたことに過失があった(過失)とは認めることはできない。
(3) したがって,その余の点について判断するまでもなく,控訴人の国家賠償法1条1項に基づく請求はいずれも理由がない。
4 議員報酬請求等について
(1) 前記2で説示したところによれば,本件除名処分は違法であり,取消しを免れないから,控訴人は,平成23年3月17日に議員としての資格を喪失しておらず,依然として議員たる資格をその任期の満了するまで保有していたものというべきであり,同地位に伴う議員報酬請求権をも喪失していないというべきである。
(2) そうすると,前提事実(原判決引用(付加補正後のもの))記載のとおり,本件除名処分がなければ,控訴人が被控訴人から支給を受けることができた平成23年4月分の議員報酬は23万6833円であるから,被控訴人は,控訴人に対し,同議員報酬23万6833円及びこれに対する支給日の翌日である平成23年4月22日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払義務がある。
(3) 他方で,控訴人は,被控訴人に対し,平成23年3月分の受領済み議員報酬のうち本件除名処分後である同月18日から同月31日までの間の日割報酬分である8万7367円を返還すべき債務を負うものではない。
5 結論
以上によれば,控訴人の請求のうち,本件除名処分の取消し,議員報酬23万6833円及び遅延損害金の支払並びに受領済みの議員報酬8万7367円の返還債務の不存在確認を求める各請求については理由があるから認容し,国家賠償法に基づく請求については理由がないから棄却すべきところ,これと異なり,控訴人の請求を全部棄却した原判決は不当であって,本件控訴は一部理由があるから,原判決を上記のとおり変更することとして,主文のとおり判決する。
名古屋高等裁判所民事第4部
裁判長裁判官  渡辺修明
裁判官  坪井宣幸
裁判官  金谷和彦