この記事、ヘンだと思わないか。

一見して、こんな合成技術もできるんだ、みたいな未来図にフンフンと読んでみた。化学が少し分かる私にとって、これらはどれも不可能な技術ではない。私レベルの人なら日本にはいくらでもいるだろう。高校の『化学』の教科書に書いてあったことだ。しかしさ、概念図を見ると、途端に、アレ、と思うのだ。

例えば、水を電気分解して水素を取り出して、さらにメタンCH₄を合成して、それを燃やしてエネルギーにする。確かに合成プラントがあればできるだろう。問題は経済性だよ。いったいいくらのメタンになることやら。さぞやお高いガスになる。メルヘン、幻想の世界よな。

それをあたかも現実のことのように、「技術的には可能だ」、と居丈高に主張するこの記事は全体主義の、それこそ反対するものを否定して消し去る独裁者の狂気に見えるのだ。水を電気分解したら、いったいいくらになるのか、これまでどこにも書いてないでしょ。その効率もさ。

できる、できない、の現象ではない。無理なのだ。環境運動家たちがよく言う話し方では、「福島原発の事故では水素爆発したでしょ。だから条件さえ整えれば水は水素に代わるんだ」という。アホ抜かせ。あんなことがあったら、それこそ大惨事やないか。どれだけのエネルギーが放出されたと思ってるんや。私から見ると、彼らの思考は狂っているとしか思えない。

現実的ではないからだ。「燃焼時にCO₂を排出しない」という記述も相変わらずバカらしいトリックよ。アンモニアにしろ、水素にしろ、製造過程で二酸化炭素が出ているやん。結論には「国際的な主導権を握る」とある。かつてあった核融合みたいなものか。莫大な開発費を費やしたんだよな。福井の「もんじゅ」もそうだった。

技術開発は必要な施策だと思っている。目的があって、与えられた課題を克服していく。エジソンの本を読んだから、それくらいの夢は持っているつもりだ。ただ、今回の再エネ政策には初めからウソが付きまとう。それがイデオロギーなのか、カネ儲けなのか、科学を装った詐欺なのか、誰も批判できないでいる。それが私には許せないのだ。