我々は土砂崩れが心配なんや、という工作員たち

h19年頃、伊豆や伊方で風力発電の低周波被害があるということで、汐見文隆医師、窪田泰さんは被害調査を行って全国に危険情報を伝えてきた。東伊豆町には大手メーカーの技術屋がいて、詳細な被害調査報告書が作成されていた。これで随分と風力発電計画を拒否した地域があったと思う。

といっても風力計画は二度、三度と襲ってくる。各県にはすでに風力発電計画が作成されていて、行政や政治は、それを実行していくだけの段階に進んでいた。その計画図はヒドイもので、和歌山県の風力計画図を見た人は、驚きの声を上げたと2014.2/5日のページにある黒田街子さんとの対談で証言している。

私も由良町を取り囲む風力計画図を見ているから、なんで役場の連中、議員たちは何も言わないのかと奇妙な感覚に捕らわれたことを覚えている。こんな狭い由良谷を、北と南側の山々に風車が林立しているのだ。議員たちは「観光資源になる」と喜んで叫んでいた。谷口さんら被害者が苦しみの声を上げていた時だったから、私はその言葉に吐き気がしたものよ。

あれから10年が過ぎた。もちろん今も風力発電の低周波被害で、耳鳴りや目まい、頭痛に苦しんでいる。重症の被害者たちの顛末は、これまで書いたとおりだ。今、「風力発電反対」と検索すると、全く被害を否定する欄が並んでいる。風力発電計画に反対するように書かれた欄にも低周波被害、風車病の言葉はない。

ましてや被害の原因である低周波空気振動を測定した形跡もない。漠然と、健康被害と書かれているものもあるが、なんだか違う。ペテンの欄だ。各地の風力説明会がyoutube 動画で流されている。被害を否定する御用学者の講演や、アホ丸出しの環境運動家の錯乱、私たちは土砂崩れが心配です、というのだ。

中には込み入った作りになった打合せ通りの、「我々は土砂災害があるから反対なんだ」という結論に、会場が拍手喝采に沸く場面もある。これまで風力被害者たちは土砂災害を心配して苦しみ死んでいったのか。さらに今も風力被害に苦しむ人がいるのに、大勢の環境運動を装って、「土砂崩れだ」と脅すのか。もちろん彼らは何でも知っているのだ。

知っていて、わざと低周波被害は言葉にしない。「伊豆では、そろそろ人が帰ってきているらしい。安心感を取り戻したらしい」というのだから大したものよ。これがエセ風力運動会の正体だ。その地域の人たちの中には、何もかも分かっている人がいるはずだろう?去年、下津町の人が我が家に来て、「風力発電があるから住んでいられない」と伝えていった。

なんで古い地域社会の人が被害に苦しんでいるのに、誰も助けないのか。その気配もないのか、それが不思議だと思わないか。それが「考える会」の地域対策だと、風力発電とセットになった、地域管理の有様だと分かるではないか。海外では、このようにあちこちで抗議運動を展開している。大事なのは電気でもエネルギーでもない。

人の人権だ。健康に生きる権利だ。それを日本では被害者を弾圧して笑いものにして消し去ってきた。被害者が苦しみの声を上げ、死んでいく。あるいは地域を追い出される。なんでそれがおかしいと笑うのか。じつは由良町で、私は散々にこれを訴えたのだ。誰一人味方になる人はいなかった。

私の目の前で「あほよら、アホよら」と手を叩いて踊って見せる人がいたものよ。『風力発電の被害』を書いた理由がこれなのさ。日本の社会は転落してしまったのか。なんで誰も人を人として認めないのか。次はご自分の番になるのにね。いや、社会そのものが、そのように誘導されていく現実に、管理社会の結末が来ているように思うのだ。

反抗すれば消し去るのだと。警察では、風力被害など聞いてこともない。由良さんあなただけでしょ、と言って私を見下していた。環境運動家や地域の人々は大喜びしたよ。早く二冊目の『風力発電の被害Ⅱ』を書かなくては。