産経新聞の提灯記事

北陸の高浜や美浜の原発付近で釣りをしたことがある。排水口の付近には、白い腹を上にして泳いでいるチヌ、メバルが見えた。それを網ですくったり、釣りを楽しんでいる人たちもいて、穴場になっていることを教えてもらったものよ。あの人たちは、あの魚をどうするんだろうか。近所の人にでも配っているんだろう、ということだった。同じように、温排水のために、アサリがドツサリ採れるのだ。

毎回、バケツに一杯獲って帰るんだという人がいて、無邪気に喜んでいた。排水口には、海藻や、カキ、フジツボなどの貝類が付着するので薬品を塗ったり流したりしている。それで発電所周辺の海域は磯焼け、といって漁ができないような不自然な環境になる。一般の火力発電所なら笑い話になるけれど、原発の場合は、放射能を薄めて流している。それでその海域には大きなアワビやサザエがごろごろしているというのだ。

漁師たちはあえて獲らない。私たちに対しては、持って帰って食べたらいいじゃないか、と笑っている。同じことは水俣市にもあって、そこに見えている貝なのに誰も取って食べない。「持って帰って食べたらいいよ」と笑っている。恐ろしい現実だ。以前、発電所で働いている作業員が、排水溝で一貫(4㎏)もあるタコを見つけて獲ってきた、と言っては私にもおすそ分けがあった。

構内に逃げてきたタコだから、何か理由がありそうだ。大きな真蛸の足二本を、私は塩茹でして酒の当てにしてしまった。食い意地が張っていたのだ。さてもこの記事よ。汚染水よ、処理水よ、と言っても、しょせんは原発の排水だ。これまで散々なウソを重ねているから信用はまるでない。それを産経抄は一面でこう書くんだから大したものよ。原発と再エネの広告新聞だ、という所以がここにある。

東京湾に流したらよい。大阪湾に流します。という政治家がいてテレビなどで喜んでいる。どちらも閉鎖水域だからね。それから沿岸流に流されて、日本列島を覆うようになるだろう。気持ちの悪い話よ。日本の政治家は、いかにレベルが低くて、貧困なものなのかが分かるではないか。太平洋に直接流したら、アメリカの西海岸に到達する。東北大震災で確認されたことだけれど、あまり拡散されずに塊として到達する。

アメリカは怒るやろう。どうせアメリカ製の原発だから、そのお返しだと考えるか。何人かのアメリカ人と話したが、それは止めてくれ、と拒否していた。福島では汚染土として集めていた表土を利用して野菜作りを始めている。これと同じ考えで、汚染水を使って養殖に利用したらよい。出来た野菜や魚は、もちろん東京人の主食に提供する。新しい特産品の開発だ。世界の注目を浴びることになる。バカにされること請け合いだ。