時代錯誤も甚だしい稚拙な懲罰動議に申し入れ書を提出しました。

地域住民の苦しみを黙殺させない為、由良町議会議長あてに『申し入れ書』を提出しました。

民意で選ばれた議員は、少数の意見であれ、行政で解決できる問題には真摯に取り組まなければなりません。

問題は私の元に風力発電の低周波であろう被害を訴える住民の苦しみに対し、行政がどういう取り組みができるかを議論、可能な政策領域の中で問題を解決していくことが本意でなければならないはずです。

しかし、その本質を見失い、何度答弁を繰り返しても、その苦しみを保健機関への一方的な苦情の横流しで済まそうとする現状は許しがたいものであります。

それどころか、その答弁の事実を知ってもらうために議員質問をネット公開(現代では当たり前の行政情報公開手段)するも、理にかなわぬ方法で削除指示を受け、私個人への弾圧とも思える議会報を配布されるなど、もう行政の本来の役割を逸脱した魔女狩りのような現況です。

本来、議会の中で解決していかなければならない問題ですが、争点が行政領域を逸脱した点もあるゆゆしき問題であるため、今後この申し入れ書の顛末を詳しくご報告させていただきます。

以下、提出申し入れ書

 

和歌山県由良郡由良町議会

上野議長 様

 

申し入れ書

 

                         平成26年5月2日

                           みどり法律事務所

                  

由良 守生 代理人

                 弁護士  笠 原 一 浩

 

 1 はじめに

 

 当職は,貴庁の町議会議員である由良守生(ゆら もりお)から、由良に対する懲戒処分への対応(以下「本件」)につき依頼を受けた代理人として本書を呈します。つきましては、今後は、本件以外の町政上の課題は別として、本件に関しては、当職を窓口として頂きますようお願い申しあげます。

 

2 貴議会における3月14日協議内容

 

 周知のとおり、由良は、低周波音被害について貴議会において取り上げており、貴議会も、そのこと自体に異を唱えているわけではないと理解しております(この理解に誤りがありましたらご指摘ください)。

 

 一方、貴議会におかれては、平成26年3月14日、由良の『一般質問』のあり方について、議会運営委員会で協議がなされ、下記の5項目に該当する一般質問について自粛を申し入れました。

 

      町村長の職務権限の及ばない行財政全般以外の質問をしてはならない

      前の定例会から変わった条件、案件がないのであれば、同じ質問をする必要性が見つからない。

      町執行部の答弁が、複数回にわたって次のような答弁しかできない質問内容である。

  「(風力発電所の低周波音被害があれば)体調不良を訴える住民の方がいるのであれば、町の保健師、県御坊保険所へ御相談していただければと考えています。」

  「(低周波音の影響について)県において、国に対して環境基準を設定すべく数回にわたって要請しています。」

      本会議場で短期間で質問できる事柄であり、長々と質問するのは宣伝行為、パフォーマンスとみなされる。

○議場で宣伝行為、パフォーマンス行為はしてはならない。

      議員本人の自制の問題であり、議会人であれば常識の問題である。

 

 このうち、①②については、直ちに誤りとはいえませんが、地方自治法第1条が「民主的…な行政の確保を図る」と規定していることに鑑みれば、その適用は、慎重の上にも慎重に行われる必要があります。

また、議場の秩序保持について定めた地方自治法129条が「この法律又は会議規則に違反しその他議場の秩序を乱す議員がある時」、議員の懲罰について定めた地方自治法134条が「地方公共団体の議会は、この法律並びに会議規則及び委員会に関する条例に違反した議員に対し、議決により懲罰を科することができる」と定めていることに鑑みても、懲罰は、地方自治法の規定に反した場合(例えば地方自治法132条「無礼の言葉を使用し、または他人の私生活にわたる言論をしてはならない。」)か、それに準じる場合に行われるべきものと解されます。

したがって、①については、「町村長の職務権限」について可能な限り広く解するのが相当であり、少なくとも町村長が意見を表明することができる事項であれば、職務権限に含めるべきものです。

また、②についても、一見同一のテーマであっても、政治状況は日々刻々と変化するものであり、新たな状況に応じた質問であれば、「同じ質問」ではなく、「違う質問」と解されるべきものです。例えば、前回の質問後に国が指針を出した場合、著名な団体が声明を出した場合、前回の理事者の回答後において依然として被害が改善されていない状況がある場合は、いずれも、「新たな状況に応じた質問」と解されるべきです。

また、③については、理事者側の問題によって同じ答弁しかできない可能性も否定できず、②を(但し、上記のとおり厳格に)適用すれば足りるものです。とりわけ本件においては、平成20年12月12日付けの畑区長と由良風力開発株式会社との合意書の第4条2項において、「前項の協議により疑義を決定できない場合には、甲乙いずれかの申し立てにより、この協定書の立会人(注:由良町長)に仲介、斡旋等を求めることができるものとする。」と記載されており、由良町が低周波音被害等について住民と由良風力開発株式会社の間の紛争について仲介、斡旋を行うことが当然の前提とされています。したがって、町に適切な対応を求める旨の由良の質問には相当な理由があり、③の指摘は、議会活動に対する不当な制約と言わざるを得ません。

更に、④については、民主主義国家においては議員は選挙で選ばれるものである以上、すべての議員が程度の差こそあれ、何らかの形で選挙を意識するものであり、「宣伝行為」「パフォーマンス行為」を完全に議会質問から除去するよう求めることは、実質的には議会制民主主義の否定につながるものです。仮に、由良に、他の議員と同等の質問時間を割り振った結果、他の議員より空疎な質問しかできないのであれば、それは有権者の政治的判断に委ねるべきものです。

   についてはコメント致しません。

 

3 懲戒処分の不相当性

(1)5分とする決定の不当性

 それにもかかわらず貴議会は、由良に対し、同日(3月14日)をもって、質問時間を5分に制限する決定を行いました。

 由良の議会質問の議事録を精査しても、他人を侮辱する発言が見当たらないのはもとより、低周波音被害に関する一連の質問も、例えば、季節の変動によっても被害の軽減が認められない(平成24年9月議会)、県議会でも検討が行われた(平成25年3月議会)、日弁連の機関誌「自由と正義」に低周波音特集が掲載された(平成25年6月議会)、等の新たな状況に対応したものであって、上記の基準に照らせば、「不必要な重複質問」に該当しないことは明らかです。

(2)3月18日付け懲罰の不当性

 また、貴議会においては一般的に、議会質問は30分程度認められており、5分程度では内容の充実した質問をできないのは自明です。

 よって、5分のみ質問を認めるのは、実質的に不可能を強いるに等しく、およそ懲罰の合理的理由には該当しません。

 また、貴議会は上記に違反したことをさらなる懲罰事由としているようですが、そもそもが不合理な規制である以上、懲罰もまた、裁量権を逸脱するものであって不当なものといえます。

(3)議会中継のビデオの公開に、特段の問題点は認められないこと

 なお、貴議会は、由良が議会中継のビデオをインターネットで公開していることも著作権侵害として問題視しているようです。しかしながら、著作権法40条2項は、「地方公共団体の機関…において行われた公開の演説又は陳述は、…報道の目的上正当と認められる場合には、…放送…を行うことができる。」と規定しています。したがって、公開の議会における演説・陳述をインターネットで公開したところで、何ら、著作権の侵害には該当しません。

 よって、由良が議会中継を公開することは、およそ、懲罰の事由には該当しません。

 

4 懲罰手続における問題点

 また貴議会は、4月21日に懲罰委員会に関する規則を改定し、議員全員を懲罰委員としました。しかしながら、同改定の妥当性についてはさておくとしても、改定以前の行為を改定後の規則によって処罰するのは、憲法31条が禁止する事後法による処罰にも該当しかねません。よって、同規則は、由良への懲罰において、決して適用されてはならないものです。

 

5 貴議会の行為は、由良の名誉を不必要に毀損する疑いがあること

 もとより、議員に対する批判は、民主主義の核心をなすものであって、一般市民によってなされる限りは、身体的特徴等のプライバシーを問題とするものを除き、原則として自由になされるべきものです。

 しかしながら、政府(地方政府を含みます)によってなされた場合は、それは明らかに、議員の自由な活動を封じるものとなります。言うまでもなく、憲法が国会議員に免責特権を認めているのは、政府による議員活動への干渉を防ぐことが、歴史的に強く求められているからです。地方議員に憲法上の免責特権が直ちに適用されないとしても、地方自治法の目的は、明らかに議員の自由な活動を要求しています。

 しかるに、貴議会によって5月1日付けで全町民へ配布された「由良町 こんにちは議会です」は、「公的機関である貴議会が」複数箇所にわたって由良の問題点を一方的に批判するものであり、由良の名誉を不必要に毀損するものと言わざるを得ません。一般町民が由良の行為に問題があると仮に考えるのであれば、それは、有権者の政治的判断に委ねられるべきものであって、公的機関が介入すべきものではありません。

6 結語

 このように、由良に対する貴議会の懲罰は、著しく妥当性を欠くものであり、実質的には、低周波音被害に異を唱えることそれ自体を懲罰事由としているのではないか、という疑念すら抱かせかねないものです。

以上より、由良は貴議会に対し、

          3月14日付け申し入れについては、「2」で述べたとおり、その適用を慎重に行うこと

          3月18日付け懲戒処分を撤回すること

          議会中継の不許可処分を撤回すること

          4月12日付け条例改正を、由良に対する懲罰に適用しないこと

を改めて求めます。

                             以  上

 

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