Cooper論文の解説に質問しました。

先生の解説にもまだ難しい表現があったので、さらに質問しました。
解説書の11ページにあるRMS,PSDの図について、もう少し噛み砕いた説明というか、分かるような話はありませんかと聞きました。

Fig.49とFig.50 はとても重要な成果です。たくさんの情報と意味があります。db-Hz のグラフに表現しています。

由良町では、風車が止まった時のしんどさ、あるいは急に家の中がたまらない騒音(耳鳴りなど異変)に満たされることが多々あります。
それが3時間くらい続きます。

以下、先生の講義です。

わかる範囲でお答えします。rms値というのは、二乗平均平方根で音圧を評価する方式、psdというのはパワースペクトル密度で評価する方式です。具体的な計算法は、この解説でもp8の中ほどに言い訳を述べていますが、実際に計算している付録Appendixが公表されていないのでわかりません。

ただ原理として理解したのは、rms値というのは、ある時間長さの測定記録中のいわば平均音圧レベルを計算したものです。一定時間間隔ごと(たとえば1000分の1秒ごとに)振幅を読みとり、それを全部2乗して足し合わせ、それを読みとった時間間隔の数で割った答えです。

2乗する理由は、単純に足し合わせると、音や振動は±に揺れているのでゼロに近くなってしまうので、そうならないように2乗して、全部プラスの値にしておいてから足し合わせ、最後に平方根をとって当初の読みとり振幅(音なら音圧)に戻すのです。

psdはp7の下あたりに説明していますが、波形記録そのものをフーリエ変換して(すると横軸が、縦軸が振幅か位相という2枚の図、すなわち複素数の)スペクトルが得られます。いまは位相には関心がなく、振幅、つまり強さだけに興味があるので、その振幅部分を2乗して周波数で割るとパワースペクトル密度が得られます。計測値を音圧に換算しておいてこの操作を行えばデシベル値が得られます。

問題は、そうやって計算すると、同じ記録のデシベルが、rms値から求めたときと(一般の騒音計などは測定された音圧から勝手にrms値を計算してデシベルに変換して出力するようになっています)Cooperのように、原記録から(騒音計などの出力ではなく、音の波形記録です)波形のフーリエ変換を介して求めた音圧から計算されたデシベル値が違っていることです。

そこで彼はrms値表現の図と、psd表現の図と2枚Fig.49,50作ったのです。普通見なれている騒音計の記録などは、ぎざぎざしているように見えても波形記録ではありません。単に音響レベルが変動しているだけです。Cooperで大事なのは、レベル記録しにしてしまうと、超低周波が見えなくなってしまうことを指摘したことです。あくまで波形記録をとって、それに狭帯域分析(つまりフーリエ変換して)見ると初めて超低周波が見えるのだというのです。

Ⅰ/3オクターブ・スペクトルなどはかなり詳しい印象を与えますが、それでも超低周波で孤立したピークがあっても、そのバンド内で平均化されたおとなしい値しか出て来ないので、その孤立ピークが見逃されてしまうことも起こり得ます。ところが人間はもっと精密で、どんな暗騒音にまぎれていても、そういう孤立ピークをちゃんと感じて被害を受けるのです!

Fig.49,50の作り方は、5Hz未満のところと、初期から風力発電ノイズとキズイタ31.5Hzの計測値と、住民の感覚の5段階評価中の2と5だけとの対応を調べて(たぶんこの2組の周波数しか対応の調査をやらなかったらしい)両周波数の感覚5と2とを直線で結んだものだと思います。中間の周波数で2と5がどれほどのデシベルで起こるかはわかりませんが、素直に考えればこの辺だろうということでしょう。

感覚2と5が何を表すかは明記されていませ。ただ5は相当厳しく、住民のうちにはもう我慢できないから休息したいと言ったという話がp10の下の方に紹介してあります。5段階評価がどんなものかということは、文献11を見ればわかるでしょうが、それはまだ見ていません。

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