アメリカ耳鼻咽喉科学者ソールトの研究論文

2016.2/4日付けのページに記載したワシントン大学のSalt論文の詳しい報告書です。

日本でも、音響学者や日本騒音制御工学会、環境省などは、今でも間違ったマントラの陰に隠れています。
『聞こえない音は影響しない』と被害を否定しています。
この論文には、風力発電が発する超低周波音により、どれだけの被害があるかを切実に訴えています。

以下、ある科学者からのメッセージです。

もう一つ、変調について解説を入れようと思っていて書き忘れました。通信や振動が専門でない人にはわかりにくいと思います。
解説文を見ると「信号を伝えるために、キャリア波を変化させること」とありますが、キャリア波というのがまたわからないかもしれません。

変調には2種類あります。AM放送とFM放送では、変調方式が違います。AMでは、たとえばNHK大阪のラジオ第一放送は、666Hzがキャリア周波数,FMでは88.1MHzがキャリア周波数です。
キロはx1000、M=メガはx100万。AM=amplitude modulation, F=Frequency modulationの頭文字。

AM放送の場合、NHK大阪は666キロヘルツのキャリアー波の振幅を、音声信号(ぎざぎざした波形)に応じて大きくしたり、小さくしたりした電波を放送します。
聴く人は、それをラジオで受信し、666キロヘルツのキャリアー周波数はフィルターで濾しとって、振幅の上下だけでスピーカーを振動させると、ちょうど音声を聴いているように聞こえます。

FM放送の場合はキャリアー周波数がずっと高くしてあるのは、88.1メガヘルツに、音声周波数を重ねて、振幅でなく、周波数の方を上げ下げして放送します。
放送される電波の周波数=88.1メガHz±音声周波数の範囲で、周波数は高々1万Hzぐらい変化しません。受信機では周波数88.1メガヘルツの周波数の上がり下がりを検出して、音声にして聴きます。

Salt論文では振幅変調AMしか出てきません。Fig.2ではピリピリした振動がキャリア波に相当し、超低周波音を表すゆっくりした揺れがラジオの音声振動に当たります。
この図で説明しているのは、1番上のような入力があった場合、IHCは低周波に感度がないので、ピリピリの方だけしか認識しないけれど(最下段)、OHCは低周波にも感度があるので、中段のように、入力とほぼ同じような波形を感じ取るということです。
低周波音病んひとは、普通人よりもOHCの性能がよいのです。

ようやくソールト氏の論文を翻訳しました。これを読んだ理由は、前にも述べましたが、欧米の風力擁護派は何を言っているか、反面教師として読んでみたところ(Mike Barnard)、彼らが集中的に攻撃している相手が、多分音響学者のSteven Cooperと医学者の Alec Saltだったので、この2人の書いたものを読んだのです。
クーパーはいちおう読了していますが、訳文になっていません。ソールトの方が重要のように思えたので、こちらを先行させました。

問題は、これが医学的な論文なので、用語が難しく、普通の辞書には出ていない用語も多く、いちいちインターネットで調べましたが、必ずしも日本語の対訳は見つからなかったので、仕方なく造語もしました。
専門家から見るとおかしい訳もあるかもしれませんが、基本的には間違わないように気をつけたので大意は通るでしょう。

Mike Barnard(これもほとんど翻訳してあります)はSaltを「ギニアの豚の研究」からのあらっぽい外挿だなどと揶揄していますが、医学や薬学で動物実験を否定したら、進歩はなくなることは明らかで、彼のふまじめさが逆に証明されます。

Salt説の紹介2