環境大臣などに抗議文を提出しました。

2016年3月17日
環境大臣  丸川 珠代 様

          抗 議 文

和歌山県日高郡由良町に稼働している風力発電所(由良風力発電所2.000kw,5基、広川明神山風力発電所1.000kw,16基)は、有害な低周波空気振動を伝播して地域住民に被害を与えている。即刻停止、撤去すべきである。

由良 守生(町会議員、低周波音被害者)
和歌山県日高郡由良町大字門前1023

表記、由良風力発電所、広川明神山風力発電所は現在、大阪ガスグループの㈱ガスアンドパワーにより運営されています。
どちらの風力発電所も、稼働と同時に風車騒音、低周波音被害を引き起こし、地域住民に頭痛や目まい、吐き気、耳鳴り、耳の痛み、体のだるさ、など低周波音被害独特の疾患に苦しめられることになりました。

慢性的な低周波音被害により騒音過敏となり、環境基準よりはるかに低い値でも、被害者には耐えがたい苦痛を与えています。
個人差がかなりあります。有害な特異なピークを持った超低周波(10Hz以下の耳には聞こえない振動波)を含んでいること。

リズミカルに連続して内耳、聴覚に作用するので、感覚の敏感な人にはストレス増大、パニック不安感、神経過敏化を引き起こし、日常生活が苦痛に満ちたものにされています。

私は、平成23年12月議会から、由良町議会の一般質問において、風力発電による被害者がいて苦しんでいる人がいることを伝えてきました。
また、和歌山県環境課に対しても同様に、風力発電の被害を調査して、対応して頂きたい旨を伝えてきました。何度か会議を持って、被害を伝えてきました。

由良町だけではなく、下津町にも被害者がいて、県下に被害が広がっていることが伝えられたからです。
町長答弁では、平成24年2月に一般材団法人日本気象協会が行った測定、事後調査に疑う根拠はない、としています。

しかし、この測定法、評価方法はおかしいのです。平成24年2月25日に畑地区で行われた事後説明会では、30人以上集まった被害者たちが大声で被害の辛さを訴えました。
既に騒音過敏になっていた人は、やかましくて寝られない。頭が痛くてどうしようもない、などと訴えました。

正面の席に座った日本気象協会、由良風力開発株式会社、由良町役場幹部職員は、感覚閾値よりも低いとして、「健康影響に及ぼす可能性は極めて低い」と結論しました。

資料①
この測定報告書のグラフには、特異なピークを持った被害成分が記入されていません。2.000kwの風力発電機は、直径80m、タワーの高さ100mもあります。
風車の羽が回転する毎に、タワーとの間で空気が圧縮されて、空気振動となり、周辺地域に伝播します。

周波数が1Hz,2Hz周辺の超低周波が卓越することは分かっています。特異なピークを持った被害成分です。
波長は、それぞれ340m、170mあるそうです。波長が長いので、普通の可聴音(聞こえる音)のように減衰しません。遠くまで響きます。

また、発生源が巨大な風力発電ですから、家庭の小さなエアコンや冷蔵庫に比べて、はるかに大きな音源です。エネルギーの規模が違います。
影響範囲が大きいのです。
由良風力発電所2.000kw,5基の南側の地域では、有害な低周波音がほとんど減衰されずに、距離減衰がないことも分かりました。

幾何学的減衰がない。そして大きな音源域内部では、音は減衰しないことが分かりました。地形が複雑な、谷あいの由良町独特の現象です。
たくさんの人が住んでいる地域です。
事業者が測定した低周波は、測定値を平均化して表示しています。これはまったく意味のない、影響のないものとして、評価するトリックです。
被害の原因を誤魔化しています。

2015年6月付けのドイツの医師新聞にも同じ指摘が書いてあります。
資料②
そして有害な低周波音が人体に作用して、ストレス、パニック不安、高血圧、目まい、耳鳴りを高める、としています。
2013年8月付けのスウェーデンの医師新聞には、1Hz以下の0.2Hzの周波数が吐き気を引き起こす原因だと指摘しています。
資料③
2015年3月付けのドイツの有力紙Die Weltには、風力発電難民の報告がたくさんあり、いざこざや被害に抗議する運動が増えている。
デンマークでは、既に陸上には風力発電は建設されない、と報告しています。
資料④
日本にも、1984年7月付けの『西名阪自動車道香芝高架橋周辺における超低周波空気振動の物理的解明と健康被害の実態』調査報告書があります。
被害成分は、詳細に測定すると明白です。知らなかった、分からなかった、ということではありません。

日本では、これまでアメリカのNina Pierpontの『Wind Turbine Syndrome』が有名でした。
資料⑤
(私のブログ『由良守生』に原文を載せています)
ところが、環境省の『風力発電施設から発生する騒音等への対応について』中間とりまとめ 平成28年2月 を見ますと、驚くべきことが書かれてあります。
前ページに示したような海外の研究報告は一切なく、被害を否定する論文だけ記載しているのです。

また被害者の声はどこにもなく、これだけ全国で被害を訴えているにもかかわらず、ヨーロッパやアメリカにもたくさんの被害報告があるにもかかわらず、「健康リスクへの影響については、今のところ明らかな関連を示す知見は見当たらなかった。」などと書かれています。

環境省の報告書については、これまで平成22年度のP.184には、低周波音暴露により健康影響が出やすい人の特徴として、「・精神疾患を有する人あるいは精神疾患の気質を有する人」と書かれています。
何か被害があって、抗議する人がいれば、それは精神疾患の人か、と言わんばかりです。

あるいは、「調査研究を推進することが求められている。」などの言葉が結論として多く、これはまるで水俣病の時の研究姿勢そのままではないでしょうか。
今回、風力発電の低周波空気振動による健康被害は、ヨーロッパやアメリカでは、とうに具体的な調査、研究が進められています。

日本では、それらをなおざりにして、地域対策、地元住民の理解促進などとしています。行政は、深刻な健康被害を隠蔽しています。
被害のメカニズムは明らかです。風力発電を建設したので、地域の人々が頭痛や目まい、耳鳴り、吐き気などに苦しむようになりました。