九月議会の一般質問要旨です。

九月議会でも、周囲の圧力に耐えて風力発電の被害を訴えました。
町長は、相変わらず「知らぬ」、「存ぜぬ」の繰り返しです。
何回質問しても、結果は同じだ。とうそぶきました。

私は、責任感、人間の尊厳について訴えたつもりです。
町長は、受忍の義務がある。とも答えました。

全国の皆さん。町長や議長の言う 「医師や保健師、保健所に相談してください」 という弁をどう思いますか。
協定書や、アセスメント、事後調査、の結果、何が起こったと感じますか。

先日、ある議員から、「悪ければ、どこかへ行けばよい」 と言われました。
被害にあう人は、どこかへ行け、ってよ。

風力発電により多くの人が頭痛や目まいなどの被害を受けています。
私は平成23年12月議会から、これまで一貫して風力発電が発する低周波音によって、人々が苦しんでいることを伝えてきました。
当初から町当局の対応は芳しくなく、なぜ対応できないのか不思議なことばかりでした。

風力発電建設後に事後測定をして、どのような被害成分があるのか調査するとのことでしたが、成果は何もありませんでした。
それどころか、最近分かったことですが、低周波音には「評価する基準がない。対応が難しい。」という現実でした。
A特性、G特性といった低周波音を切り捨て、低減補正して評価するやり方も問題がありました。

では協定書の第2条に明記されている「低周波、電磁波等により、地区住民に苦痛を与えないこと」 とあるのは、どういうことでしょうか。
低周波の苦痛とは、何を意味して書かれたものなのか、答弁願います。

これまでは、区との協定書であるから個人はまず地区の区長に言うべき、とされました。
区が判断できなければ、町当局が責任を持って対処すべきことではないでしょうか。「住民に苦痛を与えないこと」と書いてあります。
町当局が、町民個人に対して負う責任について、風力発電被害の場合は論外なのでしょうか。
平成27年7/30日に神奈川県の厚木基地騒音訴訟の判決がありました。

私は1年間、厚木基地で生活したことがありまして、多少の被害状況を理解していました。
7/30日の東京高裁判決は、飛行差し止めに加えて、将来分の損害賠償も認めるという内容でした。
国は、基地を置くことは国策であって、基地を返還もしくは飛行差し止めをいたしません。代わりに防音工事などをやったりしています。

さて、戦闘機の爆音は、それはすごいものです。
「医学的に健康被害との関連性が明確にされていない」などといった説明は不要でしょう。誰でも、これはいけないな、と判断するでしょう。
では、風力発電の場合はどうか。
騒音よりも、低周波音と呼ばれる耳に聞こえない音が原因です。

「うるさくてかなわない」という被害も、低周波音があるからです。
とくに由良町の風力発電の場合は、被害の原因となる波長が1Hz,2Hz周辺です。一波長が340m,170mあるそうです。
波長が長いので、距離を隔てても、あまり減衰しません。谷筋や山々を超えて伝播します。

もともと人には聞こえない、とされている音です。外部の人が、ちょっと立ち寄っただけでは何も感じることはないでしょう。
地域に住む人が、風力発電の稼働後、1週間、1ヶ月、1年経って、被害を受ける体質の人が、頭痛や目まい、体のしんどさ、といった症状と共に低周波音の存在に気が付くものです。

一旦、低周波音被害者、風車病になると、その辛さは大変なものです。とても耐えられる苦しさではありません。
私は何度も風車病に苦しむ由良町民と話してきました。たくさんの被害者が苦しんでいます。
アメリカの医学論文誌ですが、2015年6/20日付けのMercola.comに「静かにすることで心臓病のコストを下げることができる」というタイトルがありました。

内容は、騒音はストレスや睡眠妨害、心臓病や、もっと他にも健康のリスクになる、という詳細な分析が記載されています。
低周波音の場合は、既に頭痛や耳鳴りなどの被害が出ているので、この報告書に書かれている以上のことになっています。
先の厚木基地の裁判ですが、騒音もすごいですが、実は低周波音も同時に被害を与えています。鼻血が出たり、頭痛がする原因です。

国防の必要から、国策であることから、低周波音という言葉は見事に消されています。公然の秘密でしょう。
新聞記事のどこを見ても、騒音の文字ばかりで低周波音の言葉はありません。
同じことが今年の1月か2月に行われた畑地区でのアンケート調査にもありました。

誰でも低周波音による被害であることは分かっているのですが、アンケート調査結果には、低周波音という言葉はどこにもありません。
風力発電を推進している大学が行ったアンケート調査ですから、当然と言えば当然の結果であったと思います。
しかし、この報告書で興味深いのは、風車騒音を36%の人が感じている、と書かれていることです。

さらに全体の19%の人が風車騒音により被害を受けているという聞き取り調査の結果です。
由良町役場にも報告が行われたそうです。
この調査結果に対して、由良町役場の見解を問います。

また、先日、印南町の人たちと話す機会がありました。
由良町では、風力発電が人の健康に及ぼす人体実験をしているようだ、と、その人は言っていました。
被害にあって苦しんでいる人は、どうして役場や風力業者に訴えないのか、とも言われました。

私も風力発電の専門家ではありませんので、知っている範囲のことを話しました。上手く伝えられたとも思えず、反省をしています。
風力発電は、様々なところで人々を苦しめています。その一つ一つを言い始めたらきりがありません。
「関連が分からない。被害ではありません」と言ったところで、もう誰も信じないでしょう。

和歌山市の汐見文隆医師や元和歌山医大の武田眞太郎先生により、和歌山の風力発電による低周波音被害は全国的に知られています。
是非、行政としても被害者に対して、誠実な対応が必要であると考えます。
答弁願います。

質疑①
これは、実は3月議会でも質問したことですが、答えてはもらえなかったことです。
是非、協定書の第2条に書かれてある「低周波、電磁波等による苦痛」とは何なのか、説明してください。
和歌山県議会、平成27年9月議会で8/26日に、風力発電問題が議論になりました。

環境生活部長が発言していることですが、「風力発電周辺の住民から健康被害の訴えが起きるなど、全国的な課題になっている」と証言しています。
そして「因果関ん恵は明らかではないが、事業者は、自らの責任において事業を行う必要がある」とも述べています。
由良町は、全国から注目されています。

因果関係が明らかではない。という言葉を楯にとって、被害を無視し続けることは、全国の建設計画地において、「何を約束しても対応してくれない。嘘の約束なのだ」とアピールして、印象付けています。
近くでは、日高町、白浜町で、由良町の被害を見て、建設計画は中止となりました。

今、印南町においても、何かあれば対応してくれると信じている人たちが、半ば不安を抱えて由良町の対応を見つめています。
実は、数年前から、私の所に全国から風力発電被害に関して問い合わせや情報が来ています。
それぞれが深刻な事情や状況があるらしくて、裁判をしている人たちもいます。

私は、同じ被害なんだから、共同で、このひどい公害に立ち向かおうではないかと呼びかけているところです。
少数の被害者だけが孤立して、辛い日々を過ごしています。
家庭の事情などで、どこへも逃げて暮すことのできない、まるで囚人です。

下津町の被害者たちは、自宅を捨て、街中でアパート暮らしをしているそうです。
8/26日の県議会では、県の環境課が、9回も、これまで風力発電の低周波の測定をしてきたそうです。
そのたびに報告書が作成されて、因果関係が認められない、とされて来ました。

下津町の被害者たちは、測定してやると言われて、延々と9回も大規模な測定業務を経て、「特定はできない。関係はない」と叩かれて来ました。
これは酷い迫害ではないでしょうか。

私は、この一般質問で16回目になりますが、下津町では9回も大規模測定をして、被害を否定してきました。
巨大な風力発電が建設されると、低周波音が発生して、周辺の住民に被害が出ることは、今や誰でも知っています。
力づくで被害を否定して認めない。このような冷酷な状態は、何か変だと思いませんか。

同じ町の住民が、たとえ理由が分からなかったとしても、「頭痛や目まい」で苦しんでいる。と訴えています。
調査もしない。アンケートもしない。理由は因果関係が分からないという。
因果関係とは、いったい何の因果関係なのでしょうか。

大切なのは、由良町に暮らす一般の住民です。
由良町は、まさに当事者です。
是非、聞き取り調査なり、意識調査なり、住民を安心させるために行動して頂きたいと思います。

頭痛や目まいなどの聞き取り調査を実施する考えはありませんか。
風力発電に対する意識調査をすることはありませんか。
答弁願います。

質疑②

先日、テレビでハンナアーレントをやっていました。
私は、ハンナアーレントという人を、ほとんど知らなかったんですが、その洋画劇場では、戦前、戦後にかけてのドイツ、フランス、アメリカの様子が良く描かれていました。

娯楽映画ではありません。ナチス・ドイツの大量虐殺をレポートして、報告したという内容になっています。
一人で社会に向かって、悪の本質をレポートしています。

どんなに叩かれようが、そんなことは問題ではない。現に、ハンナアーレントは映画になり、世界中で売れています。
彼女の書いた本は、日本でも良く売れています。
これは、水俣病やイタイイタイ病などの公害事件でも同じことが起こっています。

最初から、悪いことは皆が知っていました。
風力発電の低周波音被害も、建設したから頭が痛くなり、目まいがするようになった、ということを地域の人々は誰でも知っています。
由良町の人なら、みんな知っているでしょう。

しかし、いつの間にか、被害を訴える声は少なくなりました。
何か言えない事情が、それぞれにあるんでしょう。
私は、被害に苦しむ人たちの切実な訴えを聞いてきました。

被害を受けている人たちは、苦しみの日々を過ごしています。折り合いをつけられることではありません。
人間の尊厳とは何か、考えてください。
「みんな知っているのに、知らないふり」して、誤魔化しているんです。
まさに「悪の凡庸さ」ではないですか。

あなたたちが罪を問われて、「私が何をしたのでしょう」と平気でいられますか。
「知らなかった」、「分からなかった」と言い続けますか。
その結果が、どのようなことになるか、ハンナアーレントは発言してきたのです。

被害者は、このまま待っていたら、被害の苦しさは無くなるのでしょうか。
自由になれるのでしょうか。

風力発電の低周波音被害を直視することは、何か不都合な理由でもあるんでしょうか。
是非、被害を認められない理由があるのなら、答弁してください。