土木学会誌を見ながら

土木科を卒業しても、土木学会誌を購読している人は少ないだろう。私の場合は、学生時代に学食でランチを食べていたら、担任の早川先生が隣に座り込んで「キミ、土木学会に入っているか?」と聞く。私が、いいえ、と答えると、「じゃぁ、土木学会に入りなさい。毎月、土木学会誌が送られてくるから読んでみたらよい」ということになった。

人生がどうのとか、言っていたかな。その後を振り返ると、どうも土木学会で研究発表させたかったようだ。先生の実績になるからね。成績の悪い、頭の悪い私に、なんで声かけてくれたのか今も分からない。たまにだが、ごくたまに面白い記事が記載されている。浮世絵を参考にして、今の風景と見比べた時のデフォルメの解説なんかよかったよ。

土木が主役だった。今日の添付記事は海外プロジェクト、ODA、JICAの世界だ。日本のGDPがどの辺にあるのか分かるだろう。企業に勤めていた時、インドネシアの青年たちが会社に来て、私を捕まえて「ダムの建設を止めてくれ」と英語とカタコトのヘンな日本語で話しかけられたことがある。熱帯のジャングルのような匂い、空気を纏っていた。

ジャングルには野生のバナナなどを食べながら自由に生きている原住民が住んでいる。彼らを追い払わないでくれ。ということだった。ペイペイの私に言われてもなあ、と困ったよ。日本政府と、先方の政府が取り決めたことでしょ。数年後に、まるでこの場面を見ていたかのような小説『天空の箱舟』が出版されていた。あまり話題にならなかった。

実際は、もっとすごい展開があったんだろうに。年代別の事業の推移をみると、今話題の国々がひしめいている。八紘一宇の理想がまだ生きているんだろうか。あまり感謝されているようには思えない。ヒューマニズムじゃないよな。製鉄所とか発電所の場合は技術を取られてしまったんだとか。私は、ついに海外には行かなかった。

だって海外部に行くと、なんか宇宙人のようになって、日本人としての話が通じなくなるからだった。たとえニューヨークでもな。しかし後日、我が家にたくさんの海外の若者を迎えて、農業体験などをやってみると、次第に周囲の人の目が険しくなっていく。変わり者よ、ということか。警察にもその度に弾圧されたから、通報する人があったんだろう。

田舎社会の恐ろしさよ。私も海外部の社員を見て、そう思っていたから気が付いたのだ。日本人て、ホントにアカンね。ここに書いたことは専門的な、国際政治の話になるのかもしれない。新聞やテレビでは荷が重い。国際感覚が必要やね。風力発電の被害でもな。