薄っぺらい

自民党の総裁選挙で、農業のことがあったので読んでみた。みなさん、百姓なんかしたことないから、雲を掴むようなホラ話よな。私は添付写真のような百姓の生まれだから、農業のことなら多少のことを知っている。自慢にもならないけどね。

それで、ふと思ったのだ。この人たちは、職業として、「何か物を作る」ということかが分かっているんだろうか、と。政治家として、票を集めるのは上手だろう。厳しい政争にも勝ち抜いてきたに違いない。総裁選、ここまで来るためには、どれほどの手間暇をかけてきたことか。

それでも農業問題を見た時、薄っぺらいな、と思ったのだ。だって、やったことがないから、どういうものかが分からないんだろうね。政治プロのジレンマよな。写真の甘夏の木は、植えてから60年が経っている。まだまだ現役よ。

私と同じ年だから、ここで同じ時間を過ごしたから、私の人生といっていいものだ。蜜柑畑にいると、東京や大阪でのサラリーマン生活が夢のようだ。もうかる農業とか、発展とか、彼らの言葉がいかに現実を離れていることか。

さらにエネルギー問題でも、彼らは現実からはるかに離れたユートピア論を平然と話している。今年は6月から8月にかけて、毎日雨と曇りだったでしょ。つまり3ケ月ほど太陽パネルは発電していない。日本に風力発電を稼働させる風なんか吹いていない。

そんなことは日常の肌感覚で判ることだ。風速10m/秒の風が吹いているかい? 現実を否定して、政治利権で話していることが分かる。これが政治家というものなのか。カネがすべてではない。農業の魅力とは何なのか。

休耕田に太陽パネルを並べて、わずかな金利を稼ぐことではないだろう。そんなことさえ思い浮かばないのだ。40年前、新潟県の長岡にいたころ、田中角栄がまだ生きていた。バクロの子であったという。私の住む和歌山県由良町にもあったから、牛や馬の売り買いが、いかに百姓の心を揺さぶったことか。

バクロの子には角が生えている、とかさ。不思議なことに、せっかく長岡技大にいたのに、一度も田中角栄を見ることができなかった。4氏と、彼を見比べる方が無理なのか。あまりに違うから、愚痴を承知で書き及んだ。