スウェーデンの低周波音事情、健康への害

ある科学者と話していて、北欧のスウェーデンで医師たちが研究した論文があるからと教えていただきました。
風車は元々ヨーロッパの文化です。研究論文もたくさんあるのに環境省は隠蔽しています。ノーベル賞などでは、あんなに有難がっているのにね。

この落差はなんでしょう。
汐見文隆先生は、風力発電被害地にある医師に対して、「医者なんか辞めちまえ」、「医師の資格はない」、と言っていたと言ってこい、と何度も言われたものでした。

精神安定剤、睡眠薬、などを売って金儲けのネタにしている、というのです。実際、薬漬けになって苦しんでいる被害者がいます。
しかしその被害者は、「話を聞いてくれる優しいよい先生やわ」と話してくれる。地域では、もう誰も低周波の被害を受けて苦しんでいることを聞いてくれる人はいないからだ。

低周波の被害は、生理的な頭痛、耳鳴り、首の痛み、吐き気、だけではない。「心」をやられる。性格が変わるし、言葉使いが変わる。
こんな人ではなかったのに、ということが多々ありました。

由良町では今、風力発電の被害を訴える私に対して、地域の人々がスサマジイ敵意を向けてきます。既に理由は何でも良いのです。私が風力発電の被害を公言した。
人々は何も考えずに、町のためか、国のためか、私が憎くてたまらない、らしい。
ある科学者から渡された海外の進んだ論文に対しても、絶対に見ない、触れもしない、何か汚いものでも見るように忌避している。憎しみがいっぱいだ。日本風車病だ。

科学者からの伝言です。

スウェーデンの翻訳です。特徴は、医師の書いたものなので、ある程度低周波病の原因にも立ち入っていること。
スウェーデンでも内情は必ずしも風力反対の人が多数派ではなさそうですが、こういうことを医学誌にちゃんと書いてくれる医師がいるということは注目されます。

それから、主題は風力ですが、そのほかの原因(冷房機とか)にも言及していること、それから低周波病の特徴として、低周波音が一過性でなく、ずーっと続いていることがいけないんだと述べていることなどです。
引用文献が挙げられていますが、大部分英文なので、もし興味があれば読んで見られる人も多いでしょう。文献調査をもう少し続けるつもりです。

スウェーデン医師新聞のオリジナル原稿

スウェーデンの低周波音研究
Infraschall von Windenergieanlagen – ein ignoriertes
Gesundheitsrisiko
風力発電による低周波音-無視された健康への害

30% der Anwohner erkranken an den Auswirkungen von Infraschall emittiert durch WKA
30%の住民が風力発電から出る低周波音で健康を害している
Schwedische Ärzte schreiben zum Thema im schwedischen Ärzteblatt „Läkartidningen” vom 6. August 2013, ein Fachblatt, welches von 77% aller Ärzte in Schweden gelesen wird!
スウェーデンの医師たちが、このテーマについて、2013年8月6日のスウェーデン医師新聞に書いた。この新聞はスウェーデンの医師の77%が購読している。
この記事の紹介と翻訳に関してVolker Hidemann氏に感謝します。
具体的には、スウェーデンの耳鼻咽喉科専門医、耳神経科医、エンゲルホルムの耳鼻咽喉科クリニックの平衡器官病および過敏反応の専門家が、国外の低周波音のテーマについての医学者、その他の専門家の研究(その出典と詳細には立ち入らないが)と同様な結果に到達したということである。(たとえば Pierpont, Laurie, Mausfeld, Philipps, Harry, Krogh u.v.m.)

症候群の説明と風力発電近傍で被害を受けた住民における症候の発生と結果を述べており、風力発電から住居までの“安全な”距離の要請、30%の被害者の評価とも合致している。

この数字は、約20年来、この課題に取り組んできた住民で証明できる。

WKA (Wind KraftAnlgen)、またはポンプ、冷房機類、その他の低周波ノイズを発生する工業設備が住民に及ぼす低周波音問題に関心のある方は、本稿の他、専門紙(医師新聞、薬剤師新聞等)を参照されたい(Ärzteblatt, Apothekerzeitung など.) 。

スウェーデン医師新聞 „Läkartidningen” 2013年8月6日より

風力発電による低周波音-無視された健康への害

風力発電装置Windenergieanlagen(WEA)からの低周波音は内耳に作用し、偏頭痛その他の中枢過敏化zentrale Sensitivierung によって人々の健康を害する可能性がある。WEAを新規に設置する条件としてこの事実を考慮すべきと考える。

著者:
エンボムEnbom
医博、PhD、耳鼻咽喉科専門医、耳神経科医、平衡器官病専門家
インガ・マルクス・エンボムInga Malcus Enbom
耳鼻咽喉科専門医、アレルギーおよび過敏反応専門家;
両者ともスウェーデン、エンゲルホルム耳鼻咽喉科クリニック

WEAからの低周波音の早期の学術問研究は矛盾に満ちていたので、WEAを新設する際の条件として信頼できるようなものではなかった。しかし、近年になって中枢過敏化についての新しい知識が得られ、偏頭痛、線維筋痛症、その他の慢性的な痛みの病像とともに、ある種の耳鳴りやめまいについても理解が進んだ[1,2]。この認識は、WEAからの低周波音が健康に及ぼす影響についての理解も進んだことを意味する。いろいろな研究により、WEA近傍の住人は、不眠、鬱に悩まされていることがわかった。まためまい、耳鳴り、騒音過敏、頭痛、自律神経系の過活動などもよく起こることがわかった[3,4]。

可聴音ではないが障害の原因となり、一般的に精神的に有害であるだけでなく、WEAが発する脈打つ低周波は、聴覚自体を害することなく、内耳と中枢神経系に作用する。

周波数20Hz以下の低周波音は、波長17m以上で、通常の聴覚では感知されない。この低周波音はあまり減衰しないで長距離を伝播する。それはいろいろない源からも出る。例えば管路の脈打つ流れ、強い乱流(たとえばWEAや大型ジェットエンジンなど)、または大きな振動する面などである。学術研究で、WEAから出る低周波音を測ってみると非常に低いレベルだったので、人々は深刻に受け取らなかった。人々はまた、低周波音は従来の意味の騒音傷害の原因ではあり得ないと判定した[5]。

これらの研究では、WEAからの低周波音がリズミカルに脈打つこと、そしてこの脈打つ音圧が、仮にそれが人に聴こえなくても、内耳に作用することも考慮されなかった。圧力波は液体の詰まった内耳の空洞内を伝播し、この“マッサージ効果”が内耳の聴覚および平衡部の感覚細胞に作用する[6]。また、一部の人が感覚器官への作用に、他の人よりも敏感に反応することも考慮されなかった。一部の人々が、他の人には何でもなくても、脈打つ音圧に普通以上に感覚が鋭いことは明らかである。

リズミカルにポンピングするWEAからの低周波は、内耳の知覚器官に対する刺激を意味する[7,8]。そのような感覚刺激は、感覚過敏の人においては、不連続なめまい、頭痛、集中困難、視覚異常等々を伴う中枢過敏化を引き起こす[9]。低周波音が継続すると、内耳の液体空洞の圧力を、聴覚骨格を通じてリズミカルに変動させるので、測定される音圧が比較的低くても苦痛が起こり得る。WEAの脈打つ音圧は、感覚の敏感な人々には、ストレス増大、血圧上昇、高血圧、心筋梗塞、パニック不安感に伴うアドレナリン分泌を通じて、自律神経系の活性化にも間接的に影響する。

偏頭痛は、遺伝的に中枢感覚過敏の人には、中枢過敏化により30%の率で引き起こされる[10,11]。さらに、他の原因による神経過敏化もある。ということは、WEA近傍の約30%の住民には多かれすくなかれWEA原因の苦痛のリスクがあるということである。別のリスクグループは偏頭痛持ちやあるいは近親者に片頭痛持ちのいる人たち、50歳以上の人、繊維筋痛症を持つ人、不安や鬱傾向の人たちである[12]。子どもや注意欠如多動性障害(ADHD)の大人も、自閉症の人も、症状が悪くなるのでリスクグループに入る。

慣習的な意味での騒音傷害ではないけれども、継続的に脈打つ音圧は内耳の圧力を不断に変化させ、感覚器官を刺激する。脈打つ、あるいはちらちらする光が、多くの人には何でもなくても、感覚的に過敏な人に苦痛を与えるのと同じである。よく知られているように、ちらちらする光は てんかん を誘発することがある。同様に、WEAの脈打つ聴こえない低周波音は中枢神経過敏者には相当の苦痛を与える。これらの苦痛は、慢性化することがあり、廃疾の原因となり、不安や鬱を引き起こし、心筋梗塞のリスクを増大させ得る。

WEA設置における現在の法規制は、中枢感覚過敏者に対する潜在的リスクに何の考慮も払っていない。今日のWEAは住居に近く設置されて過ぎている。したがって、病気発生の危険を、防止あるいは減らすために、現在の規制は住居との距離をもっと大きくとるように改訂されるべきである。
文献
1. Woolf CJ. Central sensitization: Implications for the diagnosis and treatment of pain. Pain. 2011;152(3 Suppl): S2–15.
2. Aguggia M, Saracco MG, Cavallini M, et al. Sensitization and pain. Neurol Sci. 2013;34 Suppl 1:S37-40.
3. Farboud A, Crunkhorn R, Trinidade A. ‘Wind turbine syndrome’: fact or fiction? J Laryngol Otol. 2013;127(3):222-6.
4. Shepherd D, McBride D, Welch D, et al. Evaluating the impact of wind turbine noise on health-related quality of life. Noise Health. 2011;13(54):333-9.
5. Arbetsmiljöverket. Buller och bullerbekämp1ning. Stockholm: Arbetsmiljöverket; 2002.
6. Salt AN, Hullar TE. Responses of the ear to low frequency sounds, infrasound and wind turbines. Hear Res. 2010;268(1-2):12-21.
7. Todd NP, Rosengren SM, Colebatch JG. Tuning and sensitivity of the human vestibular system to low-frequency vibration. Neurosci Lett. 2008;444(1):36-41.
8. Enbom, H. Vestibular and somatosensory contribution to postural control [dissertation] Lund: Lunds universitet; 1990.
9. Lovati C, Mariotti C, Giani L, et al. Central sensitization in photophobic and non-photophobic migraineurs: possible role of retino nuclear way in the central sensitization process. Neurol Sci. 2013;34(Suppl):133-5.
10. Ashina S, Bendtsen L, Ashina M. Pathophysiology of migraine and tension-type headache. Tech Reg Anesth Pain Manag. 2012(16):14-8.
11. Aurora SK, Wilkinson F. The brain is hyperexcitable in migraine. Cephalalgia. 2007;27:1442-53.
12. Desmeules JA, Cedraschi C, Rapiti E, et al. Neurophysiologic evidence for a central sensitization in patients with fibromyalgia. Arthritis Rheum. 2003;48:1420-9.
スウェーデン医師新聞のオリジナル原稿
http://www.lakartidningen.se/Opinion/Debatt/2013/08/Infraljud-fran-vindkraftverk—en-halsorisk/

これに対する評論も興味あるが(残念ながらスウェーデン語である)、そこでは訳者ハイデマンによりもっと他の認識もとりあげられている:たとえば、評論 ”Nya rön om infraljud från VKV”(WEAからの低周波音についての新知識)では:ローターブレードが大きいほど、ブレードがマストを通過する間隔は大きくなり、低周波音の周波数が0.2Hzに近づくが、この周波数はいちばん吐き気を引き起こす。これは、最近、苦痛の苦情が増加している原因を説明している。さらに、われわれの平衡器官は低めの周波数0.2-0.3Hzで最も感度がよいことも述べられている。

もっとも最近の評論で、世界の医師たちは、最近20-30年にWEAの“真実”と健康上の害について“知り“、この“真実”は風力発電業の救済に役立っているとの説がある(風妄想“1985年のWKAによる騒音の研究 ”Studie zu Lärm durch WKA von 1985″ 参照)。
http://windwahn.de/index.php/krankheit-56/infraschall/studie-zu-laerm-durch-wka-von-1985 残念ながら、世界の医師たちは、以前から今日までそうであったように拒絶したいところだ。

本誌はスウェーデンの医師の77%により購読されている。